44年以上も不和だったヒトとの和解

いやその、むかし習ってたピアノの先生のことっス。
小学5年から中学1年の冬まで教わってた。

S先生は大正生まれのすっごく恐い先生だった。
毎週レッスンに行くたんびに怒られまくっとった。

タイヘンだった。
そう、ホンマに母ちゃんのつぎに怖ろしい存在やったわ。

っちゅーことを、数年まえ母ちゃんに話したことがある。
「S先生に怒られつづけて、なんか地獄みたいなレッスンやった」って、ワシが母ちゃんに言ったら、母ちゃん「へ? S先生、怒ってた? そんなんぜんぜん気ィ付かへんかったわ」

怒っとったがな! 怒り狂っとったがな! 母ちゃん、ワシのレッスン見たことあるのに、なんでわからへんのっ?!
ああ、そうだった。ウチの母ちゃん、自分のことだけでせいいっぱいのヒトで、なんか「他人の観察」とかでけへんヒトやった。

うむ、尋ねる相手をまちごうた。
で、いつだったか妹に言ってみた。
「S先生、怖かったわあ。いっつもいっつも怒られまくっとって、全否定されて、タダの一度もホメられたことないわ」

妹「うん、覚えてるよ。なんか威圧感があって身動きしたらいけないような雰囲気だった」

ん? 妹はワシより4才年下だから、ええと、当時7才~9才のはずだ。
えーっ?! そんなにちっちゃいころに、たまたまワシのレッスンに付いてきただけで、そんなことを感じ取れるん?

いや、妹はワシとちがって非常に敏感なコだし、文学や美術なんかの造詣も深い。やっぱりそんなコはちょっと会ったオトナでも、ちゃんと読み取れるんだなあ。

でさ、そりゃま、妹に賛同してもらってうれしかったけど、まだ足りへん。
なにが?
いや、だれかにもっとハナシを聞いてもらいたいんよ。

あのころ、ワシがS先生にケチョンケチョンにあしらわれて、どれほど打ちひしがれていたか、だれかわかってくれい!

そいでさ、今年3月にカウンセラーO先生の個人カウンセリングを受けたときも、「小学生のときに習ってたピアノの先生に、ボロクソに言われつづけてました」と嘆いてみた。
O先生は、音大ふたつも出ていて、作曲家/ピアニスト/ピアノの先生/セラピストでもある。

そしたらO先生は「まあ、そんなただ怒るだけなんて……。どう弾いたらいいのか子どもにわかるように話してくれる先生じゃないとね。つらかったでしょう?」

うん、そうだよね。ありがとう、O先生。

なのに、まだ足りないわっ!
いやいや、心理学をちっとは勉強したからわかってるけど、「だれかにわかってもらいたい」ってのは「依存」であり「甘え」なんだよね。
「聞いてもらいたいこと」って、自分が自分で解決しないといけない課題なんだよ。

って、じゅうぶんわかっているのに、ついつい昨日のレッスンで、いまのピアノの先生にまた言っちまった。
「小学生のときに習ってた先生、毎回ずっと怒ってました。怒るだけでした。私がアホすぎるから、あんまり教える気がしなかったんだと思います」

まあね、ワシが悪かったといまでは思う。
まず第一に練習せえへんかったから。とくに「部分練習」ってまったくやらへんかった。めんどくさいから。

なので、もうS先生はあきれ果ててたんだろうなと思って、上記の発言をいまのピアノの先生に言ってもうたんやけど、いまの先生は、ご自身が子どものころに習っていた先生について、おだやかに語ってくれた。

これまでにも何回かうかがったことがあるけど、先生のお話を聞いているうちに、ワシ、はじめて気もちが大きく変わったんだよね。
昨日の記事にも書いたけど、要するにワシはあのS先生のことがすごく好きだったんだと気がついた。

とても好きなヒトに怒られて悲しかったんだよね。
ごくたまーに先生の笑顔を見たら、すごくうれしかったのを思い出した。

そしたらさ、S先生はもしかするとワシのことをそれなりに案じてくれてたのかもしれないって思った。
怒るのもタイヘンだもんね。そんなに怒るって、じつは愛情だったのかもしれない。

うん、きっとそうなんだ。先生なりに私のことをかわいがってくれたんだよね。

というわけで、ワシにとって一生忘れられないS先生と、44年ぶりに和解したのだ。
「和解」というのは「終活」のメインテーマでしょ?
だから、ワシのココロに宿っているS先生がやっとにっこりしてくれて、ようやくホッとしたよ。

でもね、そういう境地に導いてくれたのは、いまのピアノの先生なんだよなあ。
この先生に出会わなかったら、ワシ、まだまだこれから先何年もS先生のことを引きずっていたかもしれない。

でも、S先生からは卒業だね。やっと。
これからはいまのピアノの先生と、新しい道を歩むんだ。
まあでも、ワシの余命はずいぶん残り少ないけどなっ!

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