「寂しさ」をだれかにわかってもらいたいから

パート先でうっかりこっそり聞いてしまった。
先輩パートさんふたりが小声で話している内容が、ついたての後ろにいたワシに聞こえてしまった。

「K本さん、来るやん? あんた、出たってな」
「なんで?」
「K本さん、春子さんにいろいろ言うから。長いこと引き留めてなー」
「うちらにはなんも言わへんやん?」
「ヒト見て言うんやろ」

ひええ~っ!て思って、あわててその場所から遠くへ逃げた。離れた。ドキドキした。でも、先輩さん、すごい、やさしいなあって思った。ベテランのヒトで、とはいってもまだ二十代なのに、もうじき58になるババアを思いやってそんなハナシをしてくれるなんてびっくりした。

K本さんとはお客サンのひとりで、そう、ときどき文句を言われる。ワシは、K本さん、几帳面そうなヒトだからかなあ?とか、ストレスが溜まってるのかなあ?って思って、わりかしじーっと聴いていたんだけど、ええと、ワシにだけそんなこと言うんだよね。



で、こないだの公開カウンセリングで判明したのは、「ナメられてるよね」ってこと。はは……
先輩のひとりが話していたとおり、「ヒト見て言う」ってホントだよねえ。

ま、ワシはむかし長いあいだ、母ちゃんのグチを聞きつづけてきた。「グチを聞く良い子」を演じることで母ちゃんの愛情をもらえると思ってたんだよ。なので、他人に対してもソレやっちゃうんだよね。「アナタのグチを聞いてあげます。その代わりに、あたしを好きになってね!」って「取引」をしちゃう。

そもそも、自分はそんなことやりたいのだろうか? だれかのグチ、聞きたいのか?
いや、ぜんぜん。まったく聞きたくない。

そもそも、K本さんに好かれたいのか?
いや、ぜんぜん。あんなヒト、関係おまへん。

てか、そもそも「他人が自分のことをどう思うか?」はコントロールできないのにね。そこをなあ、なんとか操作しようと四苦八苦しとったなあ。先輩さんがわざわざ気にしてくれたのは、そこらへんがらみもあるんだろう。だって、そんなハナシを現にしているってこと自体、「ワシの操作」が如実にあらわれとる!

またまた「ぎゃあぁぁっ!」って叫んで逃げ出したくなった。「自分がソコにいる」ことで、だれかがなにかどうにかするってことが耐えられないっ!



って感じた瞬間、いやっ!断じてそうではないっ! その反対っ! 真逆っ!と悟る。
「ワシはものすごく寂しくて、だれかにかまって欲しいから、こうやって周りのヒトをかき回しているんだよね」

それこそが「本当の気もち」だと気づいた。

寂しい、寂しい、寂しい。
真っ暗闇のなかに、たったひとり放り出されたみたいに、寂しくてたまらない。

そうか、寂しいからピアノ弾くのか。
この寂しさをだれかにわかってもらいたくて、ピアノ弾くんだって気がついた。

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