ええと、ずっと自分のことにかまけていたので、妹についてはたまに来るラインまかせで放置だった。
妹、そもそも持病が悪化して、それが原因で仕事を辞めないといけなくなり、社宅だったから住まいも同時に失うという悲惨な状況だった。一時病状もかなりひどかった。私が病院に付き添ったこともある。
で、なんだっけ? なんとかアプリで次々男子を引っかけてはフラれ、釣ってはフラれ、なんか毎日泣いていたらしい。いつだったか、ズームで話したときも号泣していた。仕事もなかなか見つからない。「困ったらウチにおいでねー」って私は言っといたけどそれきりになっていた。
そしたら、いきなりラインで「〇〇社に採用になりました」と言ってきた。面接に行ったら、その場ですぐ採用されたらしい。すごい!
妹「社宅も用意してくれます。リノベ済みでとってもキレイなお部屋です。6・6・4.5・8(リビング)・4(キッチン)です。洗面所もお風呂も新品みたい。家の中で迷子になります」
なにその豪邸?! ま、地方だけど。私なんか去年まで5畳一間だったんだぞっ!
妹「定年なしです。一生勤められます」
え?! なんで54才のおばはんなのにそんな好条件なんっ? で、仕事の内容もやる気が出るいい職場らしい。ひゃー、よかったねえ。
妹「そして、また恋に落ちてしまった」
はあ?
妹「〇〇社で初めて会ったんだけど……面接当日に飲みに行って、お互いにとてもいい雰囲気になってしまった」
はああっ?! あんたっ! 800kmも遠方の会社に面接行って、その会社でもうオトコつかまえるってなんなんっ?!
はあああっっっ?! なんなんっ? このひとたちはぁーっ?!
てか、「美しく聡明な、まさに理想的な人と出逢ったと思っております」って、なにそれ、面接に来たおばはんといきなりなんなんっ?!
べつに社長さんとかじゃなくて、ふつう?の管理職のひとなのだが、なんでしょう、この展開は?! ちなみにお相手さんは50才らしい。背が高く体格もよくりりしい顔立ちのひと。
まあね、妹は高校生ぐらいからメキメキきれいになって「美人で聡明」って言われていたけど、変わらんなあ、五十だろーが六十だろーがイケるんだなあ。
ただでも、出会った当日にいったいなんでここまでもっていけるのかふしぎでならない。その飲み屋での会話とかくわしく聞いていたら、彼氏がものすっごくプライベートな話をどんどんしゃべってる。初対面で、どうしてそこまで男性をリラックスさせられるんだろう? 傾聴が巧みなんだろうか?
妹「誘いまくる。目で。仕草で。わたしは多分無意識にやってる」
なるほど。フェロモンまき散らしてんだな。それにさすが年季が入ってるよな。小学生のときから好きな男のコがおって、あれ、たしかキッタンってコだよね、そのキッタン以来ずーっとオトコ切らしたことないもんね。40年以上磨いてきたワザなんだよね。
そしたら、べつにアプリとかじゃなくても、すぐにひょいっとオトコ釣れるんだよね。ちょっと粉かけたら一発。すげーなー。
根本裕幸さんがよく言ってたけど、「オトコ切れないひとはほんと切れません。ダメになってもすぐにデキる。そんなん言ったら、なかなかオトコが見つからない女性たちがものすごくうらやましがるんですが、切れないひとはすぐに次落とせる才能があるんです」
うん、ほんま才能やと思う。すばらしいわ。それに、こんどのひとは「お金持ち」なんだよね。ちゃんとした会社だから。よかったぁぁぁ、もう貢がないでええオトコやん!(嬉泣)
もう頼むから、やれ何百万何千万とか、家買ってやったとか、訴訟がどーたらこーたらとか、そげなシノギ削るのはやめといてや。