「下りエスカレーターを這い上がる」というけったいな毎日

ピアノに限らず芸事はなんでもそうだと思うが、短期間ではぜんぜん上達しませんな。

とくに毎日がっかりするのは、いやもう慣れてきてそんなに気にしていないが、その日さいしょに弾きはじめてしばらくは「昨日よりヘタ」になっている。「昨日の終わり」よりも「今日のさいしょ」は必ずヘタになっている。

それは、ハノンもツェルニーもソナタ、ショパンワルツでもみんな一様に「昨日の終わり」からだいぶんズリ落ちているのである。

「昨日の終わり」から時間が経つにつれて、そのあいだにどんどんヘタになっている。あのー、たぶんきっと「下りエスカレーター」状態なんだろ。練習をやめたとたん、勝手にずーっと下に下がっていくんだよ。


だから、どの曲もまずは「今日はじまりのヘタ」を「昨日の終わり」レベルまでずーっと上に持ち上げる作業が必要なのだ。

つまりね、昨日ようやっと「下りエスカレーターに逆らって、ムリやり5階まで上がった」とすると、翌朝は「3階に下がっている」。なので、まずはまたまた下りエスカレーターを3階→5階まで這い上がり、さあて、それから今日は6階まで上がるぞ!とかやってるわけ。

でも、明日になったらその6階が4階にズリ下がってて、ふう、また上らなくちゃねえ、ってのを毎日やっている。

まあね、なんの役にも立たないのに上がったり下がったりって山登りでさんざんやってるから、それがたまたまピアノに替わっただけで、本人は機嫌よくせっせと上っている。そう、ピアノの練習は山とかなりよく似ている。同じことの繰り返しが好きな自分にはどっちも向いているね。


しかし、だ。このピアノにおける「昨日よりヘタ問題」は、どうも老化じゃねーか?

これ、あんまり聞かないよね。いままで読んだり聞いたりしたことがない。むしろ「寝ているうちに昨日よりうまくなっていた」という話ならチラホラ見かける。でも、自分ではそういうの一度も経験なし。

「昨日よりヘタではじまる毎日」が私に与えられた課題なのだと甘受して、黙々と、いやピアノは音出るだろ? 淡々と練習するのみである。

それでも、毎日「下りエスカレーター這い上がり」をしぶとくやっていると、あんれまあ、いつのまにか「手になじむ部分」というのがあらわれてくる。そんなにあれこれ考えないでも「自動モードで手が勝手に動いてくれる」状態がふっと出てくる。


けどさ、こんなん出てくるのって、暗譜してそれからまたずーっと先の先の先、延々弾き倒してからようやく数小節ぐらいがその「自動モード」ね。ほんのわずかのごほうびだけど、そりゃうれしい。

たぶんプロのピアニストは、こういう自動モードでぜーんぶ弾いているんだろなあと思ったりする。ちがう?

▼モーツァルト:ソナタK283 ト長調第1楽章

十六分音符のタカタカしたとこ、あ、ピアノの先生は「ティカティカ」と言われるんだよねえ、そのティカティカのほんの一部が自動モード化されてきた。わあ、ハマッたハマッたってうれしいけど、肝心の冒頭部分がまだまだ自動化されていない。

ふう。さいしょのあたり、毎日50~100回練習してるけど、自動モードにならねーんだよお。ならねーし、そもそもさいしょ6小節だけでもおっそろしくむずかしくてさあ。モーツァルトらしい音色とか響きとか、そういうのってイメージができても弾けねーじゃん!

でもまあ、発表会までのあと二日がんばる。さいしょでコケたくないから自動化めざす。

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