一週間ほど前からめまいがして、ぐるぐるふわふわしている。体調って、なんかずーっと悪い。まあ、それは四十代と比べるとどうも「ずっと悪い」。生きているだけでもしんどい。
これが老化なんだろうと思ってあきらめているけど、目立って具合が悪いときは病院に行く。今日はパートを休んで受診した。
内科でええかと思ってたら、めまいは耳鼻科らしい。耳鼻科であかんかったら内科らしい。よう知らんけど。
めまいは、周囲がふわふわ揺れるような感じでつづいている。寝ているときは発生しない。起きているときは地味につづく。立って動いているときがいっちゃんふわふわするが、座っていても少し感じる。ピアノを弾いていてもふわふわがあるものの、弾いてたら忘れる程度。そんなにヒドくないと思う。
さて、診察。耳鼻科のお医者さんがいくつか検査した。べつに異常ないらしい。そのつぎは聴力検査に回された。
へええ、聴力か。それは検査しておいて欲しい。なんかこのごろあちこちで言われるんだよね、耳のこと。
あっちで「ちゃんと聞いとるか? 耳だいじょうぶか?」とあきれられ、こっちで「耳ちゃんと働かせてますか?」と厳しく言われ、どこ行っても「聞こえとるんか、ワレ」みたいに年中言われてるような気がする。
もしかしたらトシで耳が遠くなっている可能性もあるのう。ちょうど助かる。
検査では、音が聞こえているあいだ手元のボタンを押す。音の高さが、上がって上がって上がって、うんと下がって下がって、みたいに上下する。
結果、聴力は異常なかった。もうどこでも言い訳できない。
ついで頭部MRI検査。まあね、1年半まえに受けたよねえ。そのときは「もの忘れ外来」を受診してMRIもやった。
そうそう、前のパートをクビになるまえだよ。そのパートでもあまりに仕事がデキなくて「病院行ってますか?」と言われて、それで精神病院のもの忘れ外来に行ったんだよね。検査の結果、「やや萎縮あるも認知症ではない」ということだった。
MRIは楽しい。現代音楽みたいな音がおもしろい。「トントントントントントントントン、ビービービービービービービービー」ってリズミカルに聞こえて笑える。たぶん4拍子。
●YouTubeにもあった。あるんだ、こんなのw → 「mri sounds」
でも、前回もそうだったが、とちゅうで寝てしまった。
んで、ここの病院は全面建て替えして、機械もまだ新品で、そしたらMRIも時間がすごく短かったし、音もかなり小さくなっていた。機械ってどんどんよくなってるんだなあ。
たいしたことないめまいなのに、おもくそ検査してもらった。ああ、こんなに念入りにいろいろやるから、ムダに寿命が延びるんだよなって思った。私自身はもうそこそこでお迎えが来てもいいのに、これから先、やっぱり長生きできるようにいろいろやってくれるんだろうね。
18才のときから仕事らしい仕事をしてこなかった。宛名書きがいっちゃん長かったかな。それも必要っちゃ必要だけど、そういうのは結局機械がやるようになった。なんだかがっかりした。
でも、その機械のおかげで、私はますます長生きできるようになりそうだ。
もう来年から年金をもらうつもりで、これからいっそう何の役にも立たなくなるというのに、それでも「ずっと生きていてください」と社会が支えてくれる。
ふうん。
じゃあ、私はなにをして生きていくのか?といったら、べつにピアノを弾くだけである。
モーツァルトをバッハほど好きになれねえとか文句言ってたけど、ここ数日モーツァルトソナタをねちねち練習してたら、かなりおもしろくなってきた。バッハ:フランス組曲第6番ブーレは底抜けに楽しすぎて、弾きすぎないように後回しにしている。
ってな具合に、来年から好きなことだけやってずーっとブラブラするつもりだけど、ふうん、それが許される世の中ってものすごいことだよね。
子どものころ、母ちゃんからしょっちゅう「あんたは戦争なかったからどんだけラクしてるっ?!」と責められた。母は空襲で死にかけた経験がある。
たまたま平和な時代に生まれ育って、ろくに働かずにもう年金もらってブラブラする予定だが、それでやるつもりなのがピアノである。要するに、いま年金保険料や税金をたっぷり納めてくれている方々のおかげでピアノを弾けるとも言える。
ふうん。
じゃあ、もっと楽しもうかな。
世間のみなさんは「え? かまわないよ、べつに。ピアノ弾いてたら? 年寄りがしあわせにしてたらそれでいいよ」と思っている。
じゃあ、すなおにやりたいことをやろう。
それだけである。