ピアノを弾くとき、「指ってちゃんと動くんだな」と生まれてはじめてわかってきた。
このふしぎな感覚は、けっこう急速に増してきており、ただただ驚き、あっけに取られている。
だって、ピアノを弾いていて、ある程度パシパシ小気味よく音がハマッていくなんて、これまでいちどもなかったもんでね。
長いあいだずーっと「思うように指が動かないもどかしさ」しか感じていなかった。曲を数小節ごとに分割して、ていねいに部分練習を何十回やっても、するするさーっと弾けるようにはけっしてならなかった。
いまもさーっとは弾けないが、各指の独立具合がかなりよくなってきた。たぶんこのずっと先に「粒立ちのいいクリアな音」があるんじゃなかろうか?
それ、めちゃくそ欲しいねんけど。
それにしても、こんなに大きな変化が生じたのは、ツェルニーをきちんと練習したおかげなのだ。それも1ヵ月程度で。
もうね、これほどツェルニーの練習曲がすごいなんてね、まったく予想してなかったねえ。
まあ、自分がいかんのだが。2年前にレッスンを受けはじめたとき、さいしょからツェルニー30番を課題に出されて、レッスンでもこと細かく指導していただいてたのに、すいません、ちっともまじめに練習していなかったからね。
ただし、言い訳になるけれど、そもそも以前は「指が動く状態」ってのがまったく想像もつかなかったんよ。
そりゃあ「動かない状態」しか経験していないから当たり前だけど、ソレしか知らないから、「ツェルニーを練習すると → 指が動くようになる」という発想がゼロだった。
で、ちょっと思ったんだけど、ピアノをすごく弾けるひとって、こういう「指が動く感覚」って何才ごろにわかるのかなあ?
もちろん個人差はあるだろうけど、そうだね、発表会のひとたちを思い出してみると、もう小学生でも弾ける子は難なく速く弾いているよね。なんか私が苦労している「ええい、動かんねん」みたいにギクシャクした動きはないもんね。
私は、子どものとき13才までピアノを習っていたものの、そう熱心に練習していなかったので、とくに「速く弾く」ことはぜんぜんできなかった。そうできるようになりたいとも思わなかった。この「なりたいと思わなかった」というのが大きな原因でしょうな。
そんなんじゃなくて、ちゃんとパリパリ弾ける子というのはたいてい小学生ぐらいで自然にそうなっちゃってるみたいだねえ。うらやましい。
まあ、でもこないババアになっても、いま現在ほんの少し「指が動く感覚」がわかってきたよ。わお!
そしたらね、めっちゃおもろいねん! うくくw
1年ぐらい前に終わった曲とか弾いても、ぜんぜんちゃうちゃう。サッとは弾けないものの、けっこう指を制御できる箇所もあり、そのころの「もどかしさ」がなくなっていてすごくうれしい。
あんまりうれしいもんだから、もっと練習曲に時間を取るようにした。
ハノン、これまで一日10分しかやっていなかったが、それを30分にあらためた。そして、大切なツェルニーは1時間半やる。昨日から新しい課題としてツェルニー40番の9番が出されたので、これをまた、メトロノーム♩45でじっくりはじめた。
♩45をメトロノームだと遅すぎるので、♪90で鳴らしている。曲全体をだいたい8小節ごとに9セクションに分けて、その8小節を5分間反復練習する。ひと通り終わるのに約45分となる。
私は「5分間部分練習」ってのが大好きでねえ。5分砂時計をくりんくりんひっくり返してばかりいる。
3分は短すぎる。5分がちょうどいい。足りなかったらまたひっくり返す。8小節を合計10分もやっていたら、かなりなじみが出てきてちょっとした「ハイ」気分を味わえたりする。
ツェルニーがおもろくなりすぎて、一曲一曲が「山」みたいに思えてきた。一山ずつ登っていく楽しみとおんなじや~ん。
日本三百名山は270山ぐらいでケツ割っとるんでね。
これからは代わりにツェルニーを登りまんねん。