【大損|悲惨】「狭小中古マンション」の購入と売却 その13|「理想の小部屋」に引っ越したのに、忍び寄ってきた”アレ”

「汲めども尽きせぬ泉のごとく、こんこんと湧き出づる、よろこびが欲しい」という文字と、「湧き水と女性」のイラスト 【大損|悲惨】「狭小中古マンション」の購入と売却

引っ越し直後は、てんやわんやでバテバテ

新居に引っ越した直後は、「ああ、これでもう、不用品廃棄や引っ越し準備をしなくていい」、ふう、やれやれという気分だった。

古い家電(冷蔵庫、洗濯機、洗濯乾燥機)の処分は、自治体へ電話で予約して、別途処分券の購入など、ひとつひとつめんどくさい。

しかも、べつべつの日に回収へ来たりする。

大型ゴミの廃棄は、所定の日に、自分で、所定の場所まで運ぶ。

そのころは、クルマを持っていなかったので、自分で運ぶのにとても苦労した。

折りたたみベッドがかなり重くて、それをヤケクソ気味に引きずり、ぜえぜえあえいでいたら、若いおにーさんが、とちゅうから手伝ってくれた。やさしいのう。

いま思えば、これだけ処分品があったら、どこか業者に頼んで、ぜんぶ任せたらよかった。

あと、段ボールへの箱詰めも、たった12箱なのに、疲れ果てた。

そんなこんなで、念願の引っ越しを終えたあとは、体力気力ともにゼロ。

翌日は、市役所へ転入届も出さないといけない。

大雨のなか、ヘロヘロで向かった。



ほう、理想どおりに仕上がったね

その後、一週間のうちに、新しい家具や家電も、つぎつぎ搬入されてきた。

あらかじめ、自分が立てたプランのとおりに、家具類を設置していく。

それらは、カーテンや壁紙と、驚くほどマッチした。

まるで、ジグソーパズルのピースが、自動的にピタピタとあてはまるかのように、小気味よく完成していく。

「これはデキすぎだな」というのが実感で、落ち着かないほどだった。

南向きのベランダからは、ある山の頂上がよく見えた。

むかし何度も登った低山で、その広大な頂上では、みんながそこかしこで、のんびり寝そべっていた。

引っ越し直後は、山の春はまだ浅く、ベランダから見える頂きは、枯草色だった。

そのベージュのてっぺんが、薄緑になり、やがて濃い緑色におおわれるころには、私も新しい部屋にすっかりなじんでいた。



「モノ」は、手に入ると、魅力が失せてくる?

半年ほどたつと、ソコに住んでいるのが、けっこう当たり前になってしまった。

リフォーム計画を立てていたときの高揚感なんて、すっかりなくなった。

そもそも私は、「手に入ってしまう」と、とたんに興味が失せる。

それまで、アレにしようか、コレにしようかと、選んでいるときは、ひじょうに熱心なのだが、いざ手元に来てしまったら、「あ、そう」となる。

これは「モノ」に関してだけ、生じる現象である。

当時はまだ、ハイキングをやっていたが、山に登って「あ、そう」とは、けっしてならない。

どんな山であっても、何度おなじ山を登っても、そのときどきに得られる感動は、いつもすばらしい。

しかも、そのたびに「新しい魅力」を見せてもらえる。至福のよろこびを味わえる。

だけどねえ、「モノ」はそうじゃないよね。

なかなかそこまで、「つねに魅力を増していくモノ」って、ちょっと出会えない。



「永遠に感動できるモノ」とは?

唐突に思い出したのは、佐藤嘉市(さとう かいち)のこと。

佐藤嘉市

佐藤嘉市

佐藤嘉市とは、長野県堀金小学校の校長先生。1877年(明治10年)生まれ。

常念岳を教育のよりどころとし、毎朝の朝会で「常念を見よ」と児童生徒に呼び掛けて、その美しさを讃え、「常念校長」と呼ばれ、自らも「常念山人」と称しました。

出典 佐藤 嘉市|安曇野市ゆかりの先人たち

常念岳(じょうねんだけ/標高2,857m)は、北アルプスの名山のひとつ。

常念岳

常念岳

出典 明治時代/信仰の山から美の山に|安曇野市ゆかりの先人たち

端正でうつくしい山容を誇り、その姿を仰ぎ見ると、だれもが、佐藤嘉市の「常念を見よ」ということばに、うなずきたくなる




でさあ。

べつに常念岳のふもとまで出かけなくっても、まあ、ベランダから見えるホニャララ山だって、じゅうぶんうつくしいのよ。

ふと目を上げて、山の稜線をたどるとき、山が好きなひとなら、胸に迫ってくる感慨があるじゃない?

しかし、「モノ」では、そういう感動が持続しないねえ。

なんか、ちがいすぎる。

なんか、だんだん褪せてくる。

あんなにショールームを駆けずり回って、それなりに「理想の小部屋」を作り上げたはずなのに。

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