去年、あるひと(Aさんとしておく)が、歌手としてデビューした。
Aさんは、それまでにも歌を歌っていたが、本業はべつだった。
しかし本格的に歌手デビューして、目標は「紅白歌合戦」に出場することだった。
すいません、私は紅白歌合戦、ぜんぶ見たのは過去1回だけで、そもそもいきなりそういうのを見ても、なんのことかさっぱりわからずじまい。
なんでもそうだけど、ジャンルがちがうと、なにがいいのかどうなのか、かなり時間かけないと理解不能、少なくとも私は。
だから、Aさんが紅白歌合戦に出られるのかどうか、その難易度もまったくわからなかった。
Aさんは、クラウドファンディングで多額の資金を集めて、ずっとがんばっておられたが、去年年末の紅白歌合戦には出られなかったらしい。
そしたら、年末にAさんが「活動最終報告」をされていた。
そのなかで「お金をかければ売れるわけではない」と言っておられた。
そうか、そうなのか、う~んと感じ入ってしまった。
支援するひとが、こんなにもおおぜいいて、お金の制限なく活動やプロモーションをやっても、う~ん、売れないときは売れないのか。
Aさん「正直、悔しいです」とも書かれていて、それも、う~んと思った。
そっかー、目標が明確にあったからかなあ。
いやまあ、支援したひとたちは、「Aさんが、どう思おうとも、それはまったく自由」と考えているだろうけど。
「売れる」ってなんだろう?
それはきっと、そのコンテンツを大好き!と思うひとが、ものすごくたくさんいることかな。
「毎日ぜったい、それ聴きたい、聴かずにはおられない」ってのが、音楽で「売れる」ってことかね。
私が、ほぼ毎日聴くのはバッハ。
最近、リュートのバッハとか、ハープのバッハとか、「はじく系バッハ」にハマッている。
▼でも、バッハより楽しみにしているのは「もちまる日記」。
バッハを聴かない日はあっても、もちまる日記を見ない日はない。
だってねえ、↑この動画にしても、つい「だれかに教えたくなるおもしろさ」だよね?
いますぐ、これに勝てる歌を歌おうと思ったら、ものすごくタイヘンだ。
もちまる日記、総再生回数は、すでに9億回を超えている。
するとだね、「好き」ってなんなん?って思った。
ひとくちに「猫が好き」といっても、↑こういう動画が好きということは、「まるで人間みたいに振る舞う猫だから好き」なのだ。
ソコをおもしろいと思ってしまう。
人間みたいな表情や、人間みたいなしぐさをする猫をかわいいと思うのだ。
純粋?に猫らしい猫って、たぶん私は好きじゃない。
むかし、セキセイインコを飼っていたころ、鳥屋のおにいさんが「ほんとは、手乗りはあんまりよくない」というようなことを話していた。
小鳥本来のしあわせを考えると、手乗りにしないで、鳥同士で自由に過ごさせる状態のほうがいい、みたいなことを言っていた。
ニンゲンの都合で、「ニンゲンの望む行動を取るようになってしまった動物」は、よくないんじゃないか、というようなニュアンスだった。
ああ、鳥や猫のしあわせを考えるより、まず自分のしあわせかのう?
じゃあ、話を戻して、「好き」ってなんなん?
それは、単純に「毎日どうしてもやりたくなること」なんだろう。
そんなつもりはないのに、ああ、またついうっかりやってしまった、というふうに。
数年前まで、「ついうっかり」やるのはハイキングだったのに、うかうかしているうちに「ついうっかり」ピアノを弾くハメになってしまった。
くそう。
負けて悔しくないのか? 二上山っ?!
ダメだ。
すぐそこに見えている二上山も、Aさんの歌も、ピアノにはとうてい勝てない。
Aさんを応援したくても、Aさんの歌を大好きにはなれないのだ。
「好き」ってコントロールできないモンだね。
ちなみに、「もちまる日記か?ピアノか?」二者択一を迫られたら、冷静に長期的展望を鑑み、ピアノにしときます。