そもそもビビりながら、大家さんに退去の電話をしたのだが、
「あんた、今月入ったばかりやろ? なに言うとるっ?!」と、大家さんに恫喝された。
ああ、やっぱり……
「いやあ、そのう、キッチンから覗かれたり、大きな声でケンカする人たちがいたり、けっこう怖いんですよ。
もちろん、違約金としてお家賃2ヵ月分は払いますから」
「なんや、そんなモンで済むかっ?! おい!
こっちは高い仲介料取られとんのに、また取られるやろ?」
あ、まあ、たしかにね。
ちなみに、この大家さん、いくつかの収益物件を所有しているらしいと、不動産屋さんが言っていた。
「あんた、常識として1年は住んでもらわなあかんで」
はあ、まあ、そうですな。
私「こちらがご無理を言っているのは、よくわかっております。
けれども、私も精神的にツラいので、そこをなんとかお願いできませんか?」
大家さん「ほんでもな、前住んどったヤツ、なんも言わんかったで?」
あ、ちょっとハナシ聞いてくれそうな雰囲気。
私「あのう、不動産屋さんからお聞きしましたが、たしか会社の寮みたいに……」
「そうや、あいつら、なんも言うてへんで」
「う~ん、それは数人の男性で住むのと、女性ひとりとでは、ちがうのかもしれませんが」
「ほんなら、おまえ、警察に言えや。
それでええやろ?」
う~ん、う~ん、それも正論だけど、おまわりさんがずーっと見張ってくれるわけじゃないし。
「あのう、私もじっさいに住んでみるまで、わからなかったことなので。
本当に申し訳ないですが、なんとか退去できませんか?」
「そうか。ほな、ちょっと待て」
と、しばし家主さんは無言になった。
「あんたな、1年分の家賃40万8千円、払うてな。
違約金6万8千円もな。
合計……47万6千円や。
それ、振り込んでや。そしたら出て行ってええわ」
おう……またしても、強烈な人物の到来である。
いやあ、なかなか貴重な体験だ。
私「あのう、しかしですね、賃貸契約書には『違約金2ヵ月分』と……」
「アホか、おまえっ?! こっちは1年住んでもらわんと困るんや。
だからその分払うて当たり前やろっ?!」
「あのう、あのう、不動産屋さんにもご相談して……」
「不動産屋は関係ないやろっ?!
おまえとワシの問題やっ!!」
大家さん、ガンガン怒鳴りまくる。
めちゃくそ怒り狂っているんで、次第に私も「はあ……、はあ……、はい……、すみません……」としか言えなくなった。
大家さん「ええか、すぐ47万6千円振り込めや。そしたら許したるっ!」と大声で怒鳴って、電話を切った。
いやまあ、なんちゅーか、ソレ、「振り込めサギ」ちゃうっ?! みたいですのう。
しかしね、契約書に書いてある違約金以外のお金ってさ、請求できるのかねえ?
さて、今日は「電話の連絡」だったから、なんの証拠も残らない。
なので私は、とりあえず「あるもの」を送ることを思い付いた。