今朝、またしても母がコロんだ。
前回は、トイレに行く直前。
今回は、トイレから出て、部屋に入った直後に転倒。
「ドシン」と鈍い音につづいて、「ガシャン」とシルバーカーが倒れる音がした。
私が駆けつけたとき、母は左向きに横倒しになっていた。
尋ねると、
「今日は尻もちがヒドい、痛い。
でも、骨はだいじょうぶそう」
私は、ゆっくり母の上半身を起こす。
もう慣れたというか、やれやれというか。
いや、母は骨粗しょう症で、背骨の圧迫骨折もしている。
いつどこの骨が折れてもおかしくない。
だのに、こうしょっちゅうコロぶ母を見ていると、私の感じかたがだんだん鈍くなってきた。
とりあえず母の身体を毛布でくるむ。
パジャマしか着てないし。
「ヒーター持ってくるね」と言っても、
「いらないよ、早くベッドに上がりたい。
今日は歯医者さんに行くから」とのこと。
そう、母の右奥歯の詰め物が取れたので、今日は朝いちばんに歯科クリニックへ行く予定。
そのために、今朝は午前4時30分に起床した。
ウチを出発するのは6時40分の予定。
診察はというと、9時30分開始。
詰め物が取れて、予約外の診療で、ほかの患者さんのスキマで診てもらうことになっている。
で、母は「かならず9時20分に到着したい」とのこと。
コレ、むずかしかったんだよ、完璧な予定を作るのがね。
歯科クリニックがあるビルの、すぐ横に自家用車を停められない。
だから、「ウチ → 自家用車 → コインパーキング → 私がタクシーを拾う → タクシー → コインパーキング車内で待つ母を乗せる → タクシー → 歯科クリニック」という手順。
クリニック近辺のコインパーキングは、4~5台規模がほとんど。
満車の場合にそなえて、昨日のうちに候補のコインパーキングを5ヵ所探した。
昨夜、お母さまに、印刷した地図を見せて、「この5ヵ所でいかがでしょうか?」とお伺いを立てると、
「心配だわ。もうちょっと探しておいて」
なので、もう2ヵ所探して、合計7ヵ所、61台分のコインパーキングを候補にあげた。
さしものお母さまも「よろしい」とうなずき、本日の予定はこうなっていた。
午前6時40分 ウチを自家用車で出発
午前7時20分 第1候補のコインパーキングに到着、満車なら別を見て回る
午前8時00分 空車のあるコインパーキングに停車、母を車に残して、私がタクシーを拾いに行く
午前9時00分 私が乗ったタクシーで、コインパーキングにいる母を同乗し、クリニックへ行く
午前9時20分 クリニック到着
全行程、2時間40分かかる。
これは「道路の渋滞、雨天なのでタクシーが非常にみつからない、コインパーキングが満車だらけ」という最大限の悪条件を盛りこんだ予定。
ちなみに、自宅から歯科クリニックまで、距離は6.8kmですねん。
渋滞がなかったら「16分で行けまっせ」とグーグルは言うとるんですわ。
まあ、そないに早う私はよう走らん。
けどさ、お母さまは「石橋を叩いて叩いて、ついには叩き壊す」性分なので、こんな予定になった。
だのに、肝心の母が、午前5時前にコロんだわけですたい。
ほんとにねえ、ホネが折れてなくてよかったねえ。
あちこちとても痛いだろうに、母は「どうしても歯医者に行く」と固い決意。
しょうがないので、私はまた朝のしたくに取りかかっていたら、またまた母は「走り高跳びの背面跳び」みたいなカッコウで、ベッドに半身乗り上げていた。
それをまた、私が下半身をよっこらしょとズリ上げる。
あ、ベッドは最低高にしてあるし、シニアシューズも履いている。
結局、午前6時53分には、出発の準備をはじめられた。
で、コインパーキングは第2候補が、全5台とも空いていた。
あまりに早く着きすぎたので、車内でふたりで「しりとり」やって時間つぶし。
案外「下ネタ」にウケて、大よろこびのお母さまでした。
けれども、歯科クリニックでは「虫歯がいっぱい、ハミガキできていませんね」と喰らって、たいそう気落ちしていらっしゃいました。