ピアノの練習曲について。
約5年前に、ピアノのレッスンを再開したとき、ツェルニー30番を課題としていただいた。
おおよそぜんぶ、長い時間をかけて終わって、つぎはツェルニー40番に入った。
しかし、私はオクターブが届かないので、半分ぐらいしか弾けなかった。
そうしたら先生が、「ベレンス」という作曲家の練習曲にしてくださった。
いまは「ベレンス 40の練習曲」の6番をやっている。
「いま」といっても、この6番をやりはじめたのは、去年5月2日だ。
以来、練習曲は、ずーっとコレばっかり練習している。
▼「ベレンス 40の練習曲」の6番
ツェルニー30番ぐらいの難易度かな?
でもねえ……ちゃんと弾こうと思ったら、ものすんごくむずかしい。
「ちゃんと」って、つまり「当たり前のことを守って」ってことなんだが。
・音の粒をそろえる
・レガートで
・和音をそろえる
・伴奏は極力小さく
・離鍵のとき、ブツッと離さない
・上行はややクレッシェンド、下行はややデクレッシェンド
・拍感
・音価
・長調短調の弾き分け
レッスンを受けていたとき、年がら年中ご指摘されていましたねえ。
毎度のことだから、なんかもう、ウンザリし切っておられたか、先生。
この6番、さいしょにレッスン受けたとき、まず、
「和音をそろえてください」と言われて、
あたしゃ小学生か、いや小学生のときから和音そろってないな、と気が滅入った。
で、さすがに、よし、今生のうちに、和音だけはそろえる練習をしようと決心した。
それが去年の9月1日だった。
▼この曲、とくに和音がむずかしく、右手も非常にむずかしい。必ずバラける。
↑この部分、左手も超絶むずかしくて、もうね、ぜんぜん弾けないんだわ、とくに弱音で。
ここらへんは、1小節5時間とか投入した時期もあった。
まあ、やってみたかったのよ、そういう練習。
4小節に20時間ですぜ、ダンナ。
けどさ、ぜんぜん効果ないんよ。
相変わらず、和音はバラけまくるし、左手は音抜けだらけ。
思わず、たまにだけど、母ちゃんに、
「練習曲の和音がそろわない。
こりゃ、年内いっぱいかかるかもしれん」などと、グチをこぼしたりした。
けど、母ちゃんは、11月30日から入院しちゃった。
延命治療を求めて、右往左往したけど、ピアノのほうは、毎日欠かさず和音をそろえる練習だ。
面会は、2週間に1度、10分と制限されていた。
ゆいいつ例外として、胃ろう造設のため、別の病院へ行くとき、クルマのなかで話ができた。
1時間ちょっとかな、話できたの。
そしたらさ、母ちゃんが、とちゅうで、ふいにこう言った。
「春ちゃん、そういえば、和音はどうなったの?」
いやいやいや、いまから胃に穴開けに行く90歳のヒトに、和音の心配してもらうなんてっ!
いやー、もー、お母さんって、なんてありがたい存在だろう。
だのに、母の心配もむなしく、和音は、今日現在もまだそろわない。
和音特化練習は、毎日やっているにもかかわらず、ま~だまだまだそろわない。
この曲に出てくる和音ぜんぶ、毎日30回~100回練習しているのに。
ま、どこまで小さい音にすんの?っつー程度問題もあるけど、「かそけき弱音」が欲しいとなると、いつまでたってもデキないのだ。
だけど、「基礎」ってそういうモノかな。
上に書いたのは、ぜんぶ「基礎」だと思うけど、そうやすやす短期間でデキるようにならないか。
1年、2年と、年単位で徐々にデキるようになるものか。
それを、この6番で「実験」してみようと思う。
そもそも次回のレッスンのメドが立たない。
母ちゃん、要介護4になっちゃったし、私も母を置いて、遠方に出掛けたくはない。
ちょうどいいことに、この6番はかなり好きで、まだちっとも飽きない。
さいしょから終わりまで、ぜんぶむずかしいので、やりがいがある。