さすがの私も、午前中は母の部屋を片付けましたよぉ~
だって、午後2時から介護ベッドもろもろを、福祉用具業者さんが搬入に来るから。
でも、片付けそのものに、なかなか集中できん。
コレって、要するに「逃げているな」と、わかるわかる。
そうなんだよ、ここ最近、自分が「逃げの行動」を取っていると、あ、逃げたなと気づけるようになってきた。
だいたいずっと逃げとります。
いっちゃん大きな「逃げ」は、「自分と向き合うのがメンドーだから、他人をどうこうしたがる」ってヤツ。
コレがほんと巨大で、結局「自分はどう生きたいか?」を感じたくないモンだから、
母ちゃんその他おおぜいに、かまけつづけてきた。
「ダレソレがああ言った、こう言った、あんなことされた、こんなことされた」ってのは、
ぜーんぶ「逃げ」だと、しみじみ思うのであります。
ま、逃げてもいいけど、せめて介護ベッドは入るようにしたいから、母の部屋に仮置きしていたガラクタを、ぜんぶリビングに引き上げた。
掃除機もかけたよ~
さて、予定どおり午後2時から、レンタル福祉用具が続々と運びこまれる。
手すりの数がすごい。ぜんぶで9本。
前に母ちゃんと、
「もう林みたいに、手すりが生えてる~!」って笑いころげていたけど、
あと2本追加する予定。
やっぱねー、もう歩けないからねー、手すりづたいにしか移動できんからね。
前に使っていたシルバーカーは、非常に動かしにくかった。
今回、業者さんは、ふたつのシルバーカーをお試しで持ってきてくれた。
私が使ってみたら、お、いいねえ、どっちもずいぶんスムーズに動く。
すべての搬入に2時間半かかった。
すると、最後に業者さんが、
「あのう……これが胃ろうケアの用品ですが……」と、
なんだかおずおずと箱を差し出した。
「あ、はい、ありがとうございます」
そして、つぎに渡された請求書を見て仰天した。
えっ! 29,914円?!
私「これ、自費なんですか?」
業者さん「はい……そうなんです。
じつは、介護保険も医療保険も使えなくて、毎月自費で、これだけかかるんです」
はああっ?!
毎月約3万円、胃ろうケアにかかるのっ?!
私「いやあ、あのですね、ネットでもそういうのは、まったく見かけたことがなくて。
栄養剤はともかく、ケアに毎月3万円って、すみません、びっくりしました」
業者さん「そうなんです。
ちょうど生活保護で、胃ろうをしたヒトがおられるんですが、
そのヒトも、自費で3万円を払っています。保険が使えないので」
うわっ、保護費から毎月3万だなんて、ひええ。
私「じゃあ、栄養剤でもざっくり月3万だから、合計6万かかるんですね?」
「はい、申し訳ありません」
いやいや、そんなにかかるとは驚いた。
でも、しかたない。毎月払わんとな。
で、業者さんが帰られたあと、私は箱をしげしげと眺めた。
ん?
「キット内容」が書かれているんだけど、
そのなかの「ガイドワイヤ」ってのが引っかかった。
はああっ?!
「ガイドワイヤ」って、たしか胃カメラで、先に胃の中に引っぱりこむワイヤーのことだよねっ?!
そのガイドワイヤを通してから、胃ろうカテーテル本体を胃に入れる、みたいなヤツ。
そもそも、1番目に「エンドビブ ボタンⅡ」とか、あと「患者カードラベル」「患者カード」とかも書いてある。
あのさあ……
コレってさあ、もしかして、お医者さんが胃ろう造設とかするキットちゃいますかっっっ?!
私は、またしても禁を犯して、病院に電話をかけて、師長さんにつないでもらった。
師長さんに「こういうキット、毎月買ってください、言われました」って訴えたら、
「そんなん、大まちがいですっ!
それ、胃ろうカテーテルのキット! 医師が交換のときに使うんですよ」
私「でしょでしょ~っ?」
「もー、すぐ返品してください。開けたらダメですよ」
「はぁい」
私はすぐ業者さんに電話して、
「ぜんぜん関係ないそうです。返品させてもらいます」
「はい、わかりました」
あのね、私、ごちゃごちゃ言わなかった。
どうしてこうなった?とか、文句のひとつでも言いたいところだけど、
うん、言わないことにしたんだ。
だって、みなさん、急な退院に間に合わすため、一所懸命だからね。
ただ、例の生活保護のヒト、毎月「胃ろうカテーテル交換キット」を節約して買っているなんて。
う~ん、それはさすがに気の毒だが、私は口出しできないし。
なかなかスゴいモンを買わされるとこだったが、じつにおもしろい体験だった。