私は、自分のことなら、そんなに迷わないんだけどね。
でも「母がどうしたらいいか?」は……迷う。
基本的に「母が好きなようにする」でいいんだけど。
だって、90年も生きている大先輩。自分のやりかたで自分の人生を生き抜いてほしい。
ただ、私も母も「介護については初心者」だ。
なので、介護はプロの意見をぜひ参考にしたいってのが、私の考え。
などと悠長にかまえていたら、今朝6時11分、母ちゃんがまた転倒した。
今回は、ちょっと異例のコロびかた。
いつもトイレへ行くまでに、いろいろと手順があり、まあ最近では「寝てできる体操」も取り入れた。
しかし、昨日の夕方から「腰が痛い」というので、今朝は体操は取り止め。
いつもそうだが、母がベッドに腰かけるまで介助して、
私「ちょっと休んで、トイレに行けそうになったら、コールボタンを押してね」
で、私は台所にもどって、朝の用意をしていた。
すると数分後、ドスンという鈍い音が響いたのだ。
アノ音は、何度聞いても、じつにイヤなモンだねえ。
母の部屋をのぞくと、床に母が倒れていた。
「だいじょうぶ?! どこが痛い?」
「……足が」
「ベッドから落ちたの?」
「ううん、立とうとしたら、立てなくて……」
ええっ?! シルバーカーもなしで、私もいないのに、立とうとしたなんて!
私「どうして、ひとりで立とうとしたの?
いや、もうしょうがないね、なんかカン違いして立っちゃったんだね」
うわ、とうとう認知症かな。
でも、いまさらしゃーないんで、枕をあてがい、ふとんをかけておく。
6時17分、すでに契約済みの「緊急コール」へ電話。
「少しお時間がかかります」とはいえ、6時50分には、ヘルパーさんが来てくださった。
母、さいしょは「足が痛い」と言っていたが、その後「背中」とか「腰」と言う。
しかし、ヘルパーさんが肌着をまくって、調べてくれたが、腫れも赤みもまったくなし。
たぶんだいじょうぶとのことで、母を抱えて、ベッドに戻してくれた。
すると母は、「すみません、トイレへ連れて行ってください」と頼む。
で、いつものように、シルバーカーで立ち上がり、ヘルパーさんの見守りで、ゆっくりトイレへ行き、また戻ってきた。
うん、ふつうに歩けていて、じゃあ、骨折ってことはなさそう。
ヘルパーさんは7時08分に退出。
しばらくしてから、胃ろうの朝ごはんを注入しようとしたら、
母「コロんだから、絶食にする」と言う。
う~ん、ストレスがかかると、胃ろうでもイヤになるんだよね。
むかしからそうだけど、自分にとってショックなことがあると、「食べない宣言」するんだよ。
私「コロんで打っている身体を、ちゃんと修復する材料が、この栄養剤なんだよ。
コレ入れといたら、痛みが早くなくなるよぉ~~」となだめて、すかさずチューブを接続してしまった。
午後、またポータブルトイレをすすめてみたが、「やっぱりイヤ」と母。
いま治療の対象になるような痛みはないけど、背中、腰、足は動かすと少し痛いらしい。
そういう状態だったら、当分リハビリはできない。
リハビリをしないと、きっとすぐに歩けなくなって、たぶんまたコロぶだろう。
母「もうコロばないよ」
私「心配性なのに、骨折に関しては、とても楽天的だね」
そこまで「自分は骨折しない」と思っているなら、まあ、納得するまでふつうのトイレでもいいのか。
たしかに、今後コロんで骨折した場合、「あのときポータブルトイレにしておけば!」なんて、後悔しているヒマはなさそうだ。
それにポータブルトイレにしたからといって、骨折の可能性はゼロにならない。
ベッドで寝がえり打つだけで骨折するヒトもいる。現に母自身、2年まえの圧迫骨折は、なにもしていなくて急に骨折だった。
「ふつうのトイレを使いつづけたい」のが母の願いなので、私はソレを支持することにした。