やってみたら「おもしろくてハマる介護」ってのがある。
介護全体をどういう意味に取るか?は、ヒトそれぞれだろうけど、
私の場合は「恩返し」がいっちゃん大きい。
おおむね18歳までは、ずーっと世話を焼いてもらい、経済的にも丸々厄介になった。
そういうの、当たり前みたいに思ってきたけど、いやいや、そうじゃなかったと気がついた。
子どもひとりのメンドー見るって、どんなにタイヘンか。
私は子育てしていないから、ほんとにタイヘンさを理解できていないが。
母の介護は、子として少しばかりお返しをする、という意味合いでやっている。
まあ、そうやったら自分の落ち着きがいいから、そうやってるだけ。
さて、介護にはこまごまとした要素があるけど、「日常生活を手伝う」のがほとんどで、むずかしいわけじゃない。
でも、おもしろいか?といったら、う~ん、おもしろみはほとんどない。
私は、もともと「日常生活をきちんとする」のが苦手。
そういうのが、いつもぐちゃぐちゃ。
まともに食べないとか、夜更かしだとか、洗濯しない、そうじしない、片付けしない、ああ、なんせ「ふつうに生活する」のが、スゴくタイヘンなのだ。
ところが、母は規則正しい生活が非常に得意。
寝たきりになっても、やはり起床、食事、トイレ、就寝は、キチッとピシッと同一時刻に行なう。
おかげで、私もこのごろようやく、規則正しい生活ってのに慣れてきた。
慣れたら、そのほうが「疲れない」とわかってきた。
なぜなら、不規則な生活だと、日々「何時にどうするか都度考える」とか、「やらないといけないことがどんどん後回しになる」とか、要するに「悩みが増えて疲れる」のだ。
ところが、母に合わせて「時間割り」が決まっていると、なるほど、あらかじめすべて決まっているから、いつなにをするか?考えなくて済む。
だから、母を介護したため、意外な大きなメリットがあったのだ。
で、はじめに書いた「おもしろくてハマる介護」というのは、じつは歯みがきのこと。
去年11月、まだ母を歯科クリニックへ連れて行けたころ、そのクリニックで、
「お母さんは、もうほとんど歯みがきをできていないので、これからは娘さんがみがいてください」と言われた。
そして、その場で歯科衛生士さんから、母の歯みがきのやりかたを教えてもらった。
そのとき、内心私は「えーっ?! 自分の歯みがきだけでもメンドーなのに、ゲッ!」とビビッていた。
だのに歯科衛生士さんは「歯ブラシのまえに、歯間ブラシもしてくださいね」なんておっしゃる。
きっと私は、メンドくさそうな顔をしてたんだろう。
歯科衛生士さん「たぶん、やりはじめたら、歯間ブラシも使いたくなりますよ」とうれしそうに言っていた。
母の歯みがきに着手したのは、先月下旬だった。
1回目は、大量の歯垢にドギモを抜かれたが、2回3回と繰り返すと、みるみるうちにキレイになる。
そう、歯みがきってのは「あっという間に結果が目でわかる」のだ。
じきに、歯ブラシだけじゃ物足りなくなって、ゴムタイプ歯間ブラシを購入。
歯科衛生士さんの予言どおり、歯みがきは楽しいモノだった。ヒトの歯のほうがみがきやすいし。
けれども、4月4日にコロんだあと、歯みがきすると「腰が痛い」という母。
しかたなく、それからは歯みがき中止。
中止していると、とたんにメンドくさくなり、やらなくていいとホッとしている私。
あーあ。
いまなんとかデキている「規則正しい生活」ってのも、母次第で、いつかはもろく崩れてしまいそうだね。