母の転倒回数が、増えてきた。
ご本人いわく、
「去年は、サ高住で1回しかコロんでいない。
こっちに引っ越してきてからオカしい」
もともと、母は現マンションを気に入っていない。
そして、上の階の騒音で寝付けない。
マンションの管理人さんが大嫌い。
だもんで、母自身は「このマンションがヘンだから → よくコロぶのだ」と思っている。
私は「うんうん、そうなんだねえ」と否定しないようにしている。
でもさ。ほんとはさ。
母の脚力が、おとろえてきたからじゃないか?と、ひそかに考えている。
サ高住では、週3回デイサービスに行っていた。
しかし、7月に退所して以来、もうデイは行かなくなる。
一日のうち、歩く機会は、トイレ数回と洗面所2回だけ。
あ、クリニックへ通院するときは、私が支えながらも、わりと歩いている。
でもまあ、たかが知れているかねえ。
私と同居してから4ヵ月後のいま、とうとうこんなに転倒するようになった。
非常に危険だ。
これまで4回とも、骨折せずに済んでいるが、それはたまたま運がよかっただけ。
とりあえず簡易的な対策をした。
前回、前々回とも、起きてすぐ、トイレ往復のときにコロんでいる。
なので、朝のトイレは、私が付き添うことにした。
まずは「呼び出しボタン」を設置。
ワイヤレスで、母がボタンを押せば、私の持っている受信機が「ピンポン♪」と鳴るヤツ。
いまは、こんな装置が1,000円ちょっとで買えるんだねえ。
これまでは、母が大きな声を出して、私を呼んでいた。
けど、私が洗いモノをしているとき、ベランダにいるときは、母の声が聞こえず、おたがい神経を使っていた。
それが、呼び出しボタンだけで、ウソみたいにすっかり解消。
呼び出しの性能はじゅうぶん、ベランダに出ていても電波は届く。
受信機は小さいので、私は胸ポケットにずっと入れている。
ポケットがない服でも、本体にクリップがついているので、どこかに挟んでおけばいい。
で、今朝から、母が起きたあと、トイレに行くまえに、この呼び出しボタンを押してもらうことにした。
私は、母より早めに起きて、いつでも待機している。
さて、朝にコールチャイムが鳴ったので、母を支えながら、超低速でトイレへ向かう。
それでよくわかったのだが、母はシルバーカーを両手で持っているものの、左で支える私に、ずっしり体重がかかってくる。
ああ、足で立つのが、もうむずかしいんだな、とくに朝は。
トイレのなかに入ってからあとは、まだ自分で、かろうじてデキる。
終わってからは、またガッチリ支えて、ゆっくりベッドまで戻った。
私が付き添っている時間は、合計で7分。
なんだ、こんなに短くて済むなら、もっと早く気づけばよかったよ。
たびたびの転倒で、身体のあちこちが痛い母。
「なにか用があったら、気にしないで、ピンポン押してね」と私は言ってある。
けれども、母はたまにしか鳴らさないね。
たぶん気兼ねしてるんだな。
徐々にいろんなコトがデキなくなるのが「老い」。
そのたびに、ヒトの手を借りなければならない「わずらわしさ」。
そんなのを、私はすぐ間近で、ながめさせてもらっているよ。
いずれ私もたどる「道案内」をしてもらっている。