母が救急搬送されたのち、主治医の先生から、私に対して、
「胃ろうなどの延命治療は、どうしますか?」
と尋ねられて、超ビビッた。
90歳ともなれば、そういうことも、常日ごろから考えておくものだろう。
ま、私は母にも、
「胃ろうどうする?」と、たまに訊いたりしていた。
母「ヤだよう、そんなにまでして、生きてたくないわあ」
私「そうお?
母ちゃん、なんだかんだ言っても、シブといから、
『胃ろうなんてヤだあ』ってゴネながら、管ぶら下げて、生きていそうな気がする」
母「ヤだよう~」
私「『お試し』ってあるかな?
『お試し胃ろう』とかやってみて、あかんかったらヤめるとか」
母「お試しもヤだあ、手術なんてぜったいヤだあ」
「鼻から管入れるのもあるよ」
「ソレもヤだあ!」
そりゃま、だれでもそんなんイヤだよね。
母は、上の階の騒音に悩まされている。
私には、たいした物音に聞こえないのだが、母には耐えられない。
だったら、耳栓を試してみたらいいのに、これも母は、
「私、異物を入れるの、ぜったいイヤっ!」
と断固として拒否。
耳栓すらあかんヒトが、やれ胃ろうだの経鼻だの、ふう、難題だね。
ただね。
母ちゃん、アタマが明晰でしょ?
ほんま、アタマはどうもなくて、騒音問題のことだって、
「マンション管理会社は、居住者に対して、良好な環境を提供する義務があるのよ。
場合によっては、訴えるわよっ!」とイキまいていた。
こないだ救急車内へ運ばれたときも、救急隊員のヒトが母に、
「きょうはぁ、なんがつなんにちかぁ、わかりますかぁ?」と尋ねたら、
母ちゃん「11月30日」と目をつむったまま、即答しよったわ。
「お、スゴいですね」と隊員のヒト。
ほんま、土気色してて、いまにもどうかなりそうな、アブねえばあちゃんが、どうして日付はすぐ答えられるんだか。
だからねえ、いまの時点で延命ウンヌンは、ちょっとねえ。
まだ「どの管がええの? それとも管いらん?」ってのは、どうなんっしょ?
で、とりあえず「管問題」については、ケアマネさんに尋ねてみた。
ケアマネMさん「ああ、入院したら、だいたい訊かれますよ」
なるほど~。
じゃ、コンビニのレジで「袋いりますか?」みたいに、
入院して「管いりますか?」って、カジュアルな質問なのかっ!
私「Mさんのご経験では、延命治療後、みなさん、どうなりますか?
もちろんケースバイケースでしょうけど」
Mさん「8割のかたは、残念ながらそのままです。
でも、2割のかたは、元気になって、また、口から食べられるようになります」
ほう、2割も回復するとは知らなんだ。
やっぱり経験豊富なプロに訊いてみるモンだねえ。
私「じゃあ、みなさん、どうやって決めるんですか?」
Mさん「いやあ、それはもう、みなさん迷いますよ。
迷って迷って決めても、またあとで変えたり。
だから、その都度考えていけばいいと、僕は思います」
あと、Mさんは、K総合病院のケースワーカーさんとかも、よくご存じとのこと。
「なんでも相談してください」と言ってくれた。
ふう、ありがたい。
心強いこと、この上ない。