今日は「訪問リハビリ」の2回目。
一週間まえ、私は理学療法士さんにはじめてお会いした。
そもそも理学療法士さんに会うのは、人生はじめてだった。
母も、ずーっと長いあいだ、理学療法士さんなんか無縁だったけど、入院して理学療法士さんふたりにリハビリをしてもらい、やっとご縁ができたのだ。
3ヵ月もの入院で、しかも「三途の川のほとり」まで行って帰ってきたといういきさつ。
いっちゃんタイヘンだったのは母で、入院中しんどい目にばかり遭いつづけた。
しかし、デメリットだらけの入院ながら、数少ないメリットが、理学療法士さんとの出会い。
母ちゃん、もともと「理学療法」とか「リハビリ」に拒否反応を示していたが、強制的にリハビリさせられて、ようやくなじみができた。
さて、訪問リハビリで来られる理学療法士のY先生は、若くて明るい女性で、とてもくわしく説明してくれる。
前回、私も目からウロコ!だったので、今日が楽しみだった。
しかし、母のホンネは「やりたくない、楽しくない」。
理由は「しんどいから」。
いつもそうだが「寝ているのが天国」と言って、とうとう寝たきりがデフォルトになっちまった。
なるほど、こんなふうにして「寝たきり」が出来上がるのか、と感心して眺めている私。
ところが、一週間まえにY先生が母の身体をいろいろ調べて、
「左ヒザが曲がりにくいですね」「左足首がかなり動きにくくて、転倒につながりそうですね」など、具体的な事実を教えてくれた。
母ちゃん、トイレに行くときしか起きない。
1日6回、規則正しくトイレに通う寝たきりだ。
お母さまは、もよおしていなくても、定時になったら必ずトイレへ行く。
ちなみに起床6時(トイレ)、朝胃ろう注入7時(トイレ)、(トイレ)昼注入12時(トイレ)、(トイレ)夕注入18時、(トイレ)就寝20時と、まるで軍隊か刑務所みたいに規律正しい、そういう寝たきり状態。
寝たきりのクセに、一日中時計を監視しているんで、私は、自分のスマホにスケジュール通りアラーム設定して、介護にいそしんでいる。
「几帳面な寝たきり」って、実在するんだよ。
さてY先生が、いまの母に効果的なリハビリを教えてくださったので、トイレ前には、そのリハビリを軽くやりはじめた。
ベッドに腰かけて、モモ上げ、足上げ(ヒザを伸ばしてつま先をそらせる)、足首の上下運動。
これを毎回やってからトイレ。
トイレ往復も、私が介助しながら、つねに「はい、おヒザをピン! 背筋をピン!」と号令をかけつづける。このときだけは看守になれる私。
母も懸命に、姿勢をよくしようと、毎度がんばってシルバーカーでヨタヨタ歩く。
あと、1日1回、私が母の左足首を軽くストレッチして、回転させた。
というのを一週間つづけて、はい、Y先生が来られた。
母の身体を子細に調べていたY先生、
「ものすごくよくなっていますよ、一週間まえとぜんぜんちがいます!」
へええっ! たったあれだけのリハビリで?!
先生「よくがんばられましたね!」
リハビリ嫌いの母も、先生にホメられたら、とてもうれしそうにしている。
なぁるほど!
そういえば、以前ピアノで、スケールのカデンツを、ご指導どおりエラくがんばって練習したことがあった。
カデンツを、まあ、デキるかぎり先生のおっしゃるとおり、忠実に練習したわけだ。
そしたら、レッスンで「カデンツ、いいですね」と言われたことが、一度あった。
すいません、一度だけ。
ピアノだろうが、リハビリだろうが、指導されるヒトの言うとおり、まじめに取り組めば、やっぱり効果があるんだね。