去年12月以降、母は口から固形物を食べていない。
飲み込む機能が衰えたわけではなく、単に母本人が「食べたくない」というので、食べずにいまに至る。
で、さいしょは「経鼻胃管」というやりかた。鼻から胃までチューブを通し、そのチューブによって人工栄養食を摂っていた。
そして、今年1月中旬、胃ろう造設。胃に小さい穴を開けて、そこから栄養を摂ることになった。
胃ろうになったヒトを在宅介護するのは、まあ一般的で、胃ろうケアそのものもカンタン、だれにでもデキる。
母の場合、お医者さんの処方にしたがって、2種類の人工栄養食を摂っている。
●昼 アイソカル100 1個、ラコール 1個
●夕 ラコール 1個
合計 1,000kcal
これだけの人口栄養で、ずーっと生きていけるという。
よく考えたらスゴいシロモノだ。まるで宇宙食みたいだ!
ラコール(ラコールNF配合経腸用液)は、お医者さんの処方箋がないと買えない。
でも、アイソカル100は、アマゾンでふつーにすぐ買える。
こういう特殊な栄養食は、一般人には買えないと思っていたが、ぜんぜんそうじゃなかった。
これ1個で200kcal。で、完全栄養ドリンク。たんぱく質もビタミン、ミネラルすべて配合。
なので、私も忙しいときは、1食をアイソカル100で済ませたりしている。あずき味が好き。
しかし、ちゃんと口から食べられるうちは、このような流動食ばかりはいけないらしい。
必要な栄養は摂れるけれども、咀嚼する機能や飲み込む機能が衰えてしまうからだ。
人間の身体は、使わないでいると、どんどん筋肉や臓器の働きが低下する。
そうして起こるいろいろな健康障害の総称が「廃用症候群」だ。
だから、私は無精せずに玉子かけご飯でも食べるべきだが、玉子かけご飯よりもアイソカル100のほうが、栄養面ではすぐれているのう。
さて、三日前にコロんだ母ちゃん、動くと腰が痛いという。
めったに動く機会もないんだけどね。
昨日訪問診療に来られたお医者さんに診ていただいたら、
「だいじょうぶだと思いますよ。様子を見て、なにかあったら電話してください」
しかし今日になってもまだ、母の気分はすぐれないようで、
「今朝のごはん(人工栄養食)は、2個じゃなくて1個でいいわ」と言う。
んー、どうしようかな?とちょっと迷ったが、母の希望どおり1個に減らした。
その後なにやかや話していたら、
母「もうこれからは、ずっと毎食1個にする」と言いはじめた。
えーっ?!
私「そうしちゃうと、たぶん栄養が足りなくなると思うよ」
母「でも、2個は多いわ。1個だとホッとするの」
私「う~ん、栄養剤はお医者さんの指示どおり摂るからね。
まあ、言ってみれば『このおクスリは、もう飲まない』って、勝手に決めるのといっしょだよ。
こんど先生に、減らしてもいいかどうか、相談してみようね」
リハビリを止める。
人口栄養も減らす。
これが母の望みなんだが、う~ん、もしかしたら「積極的に生きる気力」みたいなのが、希薄になってきたのかなあ。