お試し車椅子を使いはじめて5日間たった。
けれども、じっさい使っていると、デメリットもわかってきた。
最大のデメリットは、車椅子座席と便座が遠くなってしまうこと。
ウチのトイレは、ドアを開けた真ん前が狭い廊下だ。
そんな狭い廊下には、最小サイズの車椅子であっても、トイレの正面に近づけられない。
物理的にムリな話で、トイレに対して斜めにしか車椅子を置けないのだ。
さらに、車椅子はそれなりに大きいので、車椅子と便座のあいだに、私が介助に入るスキマがない。
つまり、車椅子から便座への移乗は、ぜんぶ母まかせになってしまう。
あぶねー、あぶねー、超あぶねー!
福祉用具スタッフさんは、
「そういう場合は、しょうがないので、娘さんがお母さまを抱えて、車椅子から便座に移らせるしか……」とおっしゃる。
いやいや、いくらなんでも45キロのお母さまを、トイレの都度、持ち上げて?、180度回転させるなんて、あのさあ、マジっすか?!
ま、アレなんだよ。
スタッフさんもケアマネさんも「ポータブルトイレ一択、もうそういう時期!」というお考えなんです。
でも、お母さまは「ポータブル、イヤッ!」って言うし。
私も、この様子だと、いつかは必ずポータブルになると思うけど、母本人がイヤがっているのに、いまはまだムリに導入したくない。
で、ともかく車椅子は、使ってみたら余計に危険とわかった。
それで、今日からは、以前やっていた「キャスター付きイス」を復活。
ただし、車椅子のようなひじ掛けが付いていない。
もう座位が取れなくなりつつある母は、そのままでは右か左か前方か、いつかは転落するだろう。
なので、そのイスに座ってもらったあと、上半身を太いベルトで、イスに固定することにした。
ちなみにご本人さんは「イスから落ちるわけないじゃない?」とケロッとしている。
いや、あかんあかん、もうさ、ふらりふらり、ぐんにゃりぐにゃぐにゃ、いつコロげ落ちてもオカしくねーんだってば!
ベルト固定をちょっとイヤがっていたが、付けてみたら、安定したためかキゲンは悪くない。
そうしてトイレへ行ってみたところ、車椅子に比べて、便座との距離がグッと近い。
そして、私も移乗を支えてあげられる。
母「やっぱりイスのほうがいいわ」
うん、私もそう思う。
そう思わないのは、ケアマネさんと福祉用具スタッフさん。
きっとまた怒られまっせ、私が。
それでなくても、私がポータブルトイレを説得できないのを、みなさん、たいそうご不満でいらっしゃる。
私のことを「危機意識がぜんぜんないダメダメ介護者」だと思っているにちがいない。
ま、エエんです、どう思われようとも。
ポータブルトイレが安全なのは百も承知。
でも、母がイヤなんだから、まだふつうのトイレを使うのさ。