音程をはずしていた張本人は?

今夜も合唱練習。先週、自分が調子に乗ってしまってすごく反省しており、Nさんが気を悪くしているんじゃないかと恐る恐るホールへ行ったが、Nさんはいつも通りにこにこあいさつしてくれた。ああ、よかった! でもこれからは気をつけないと。いやそうではなくて、自己肯定感を上げないとね、根本的な解決にならない。

今日もあのキビしい先生ではなくて、ややマイルドな先生の指導だった。リップサービスだと思うけど、ときどき「みなさん、だいぶんよくなってきましたよ~」とか「いいですね~」と言ってくれるので、それはそれで楽しくなる。でもなあ、ここで気を緩めたらあかんのやろけどね。

それでもかなり専門的な解説もされるので、本当に理解しようと思うとタイヘン。何調から何調に転調したとか「ここでこの音がシャープになるから二長調です」と言われてもねえ。「みなさん、ホ長調の顔じゃないですよ」って言われてもねえ。「ここはヘミオラです」……なんじゃ、それ?!

「ソプラノ、いっつも音が下がってます。気もち悪いです。なんとかしてください」。ソプラノはⅠとⅡに分かれていて、私はⅡのほう。パート別で練習しているとき、ソプラノⅠを聞いていたら確かに下がっている。自分がⅡのパートを歌っているときは必死なのでよくわからん。

でもまあ、機嫌よく歌って大満足して帰ろうとしていたら、いつも受付をされている年配の女性に声をかけられた。「春子さん、ちょっと……」とみんなから少し離れたところへ呼ばれた。

そして、「ソプラノが低いって先生がおっしゃってたでしょ? あのね、春子さん、合唱はじめてですよね。それで、先生が春子さんのほうをよくご覧になってるんですよ。たぶん、アゴを下げ過ぎてるから音程が低くなるんですよ」と言う。

はああああ?! なんと!私は音程をはずしていたんかいっ!!! そういえば、よく先生と目が合うなあとは思っていた。でも、それに「アナタの音程がちがうんです」という含みがあるとはまったく気づかなかった。てか、それほどまでヒドい音程だとまったく自覚がなかったんじゃい!

教えてくれた女性は、とても気を使っている様子で「でも、おおぜいいますから春子さんじゃないかもしれませんよ」とも言ってくれた。いやいや、この合唱団で受付をやっているひとたちはみんな古くからいるエラいひとで、たぶん20年以上のベテランばかりだ。なので、先生がさすがに直接言いにくい場合は、こんな風にこっそり言ってくれるのだと思う。

いやあ、参ったなあ……ただ、あまりにも予想外だったのでべつにショックではなくて、ちょっとおもしろかった。はは、予想外と思うのも自信過剰すぎて笑える。初心者って怖いもの知らずだよなあ。

そうなんだ、やっぱり声楽ってめちゃくそむずかしいんだね。音程ってむずかしいんだね。う~ん、ピアノは押すだけで音が出るからのう。

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