ピアノのレッスンを再開して10ヵ月ちょっとになるけど、いまだにタッチが「ふにゃふにゃ」である。ちゃんと鍵盤を押さえることができない。音抜け、めっちゃ多い。自分でもよくわかっているが、ま、指の関節が痛いからなんとなくかばっているのかねえ。
先生は慎重に指導してくださる。「もうちょっと音をしっかり乗せて欲しいのですが、少しずつ鍛えていきましょう」
けれども、こないだのレッスンで、こんなことも言われた。
「もう少し太られたほうがいいかもしれません。ピアノのために(笑)」
「えーーーっ?! そ、そうですかっ?! けっこう太いんですがっ?!」
「いえいえ、そんなに太くないですよ。筋肉だけではなくて、ある意味ぜい肉も役に立ちますし」
「はあ、そうですか、はい……」
しかしっ! そのコトバを聞いて愕然とした。
そ、それはっ! そう言われるのは、2回目だよっ!
前のピアノの先生にも、まさにそう言われたんだよっ!
「もうちょっと太らないとねえ」と、約46年前にたしかに言われた。
すごくよく覚えている。小学5年か6年のころ、そのピアノの先生に年がら年中叱られていたけど、その叱られついでにヤレヤレって感じでそう嘆かれた。ということは、だ。ワシ、その半世紀まえも「ふにゃふにゃ」だったんかね?! ……だろうね。
さらに、「ピアノをしっかり弾くためには『デブ』のほうがいい」というのが真実なんだろうかっ?!
いやあ、そうなんだろうね。ピアノの先生がたは経験に照らして「もっと太れ。さすればマシな音が出るであろう」と指導してくださっているのだ。ふたりの先生にまったく同じことを言われてしまった。本人はその後46年も使い古して下流老人に成り果てておるんだが、な、なんでおんなじこと言われるのっ?!
で、そもそもワシ、ホンマに太いんス。胴回りとか、ええといっちゃん太いトコをいま計測してみたら91cmもある。ほらぁ、1メートル近いじゃん! ふつーにデブじゃん! あ、ウエストも計ってみよう。てか、くびれてるトコないな。……74cmや。ズボンとかLLサイズだもんね。
あのさ、結局手首とかに肉がねーんだよな。ピアノ、ハラで弾くわけじゃないし、見えてる部分がたまたま貧弱だからそんなふうに言われるんじゃないか?
▼参考資料として、インベンション第13番を貼っとく。去年6月に撮ったヤツだけど。
あー、う~ん、腕全体やっぱり肉少ないかのう? 腕だけ見てたら、ハラが1メートルもあるように見えへん?
それと、しばらくぶりに自分のYouTube聴いてみたら、はああ、やっぱり電子ピアノは「どう弾いてもちゃんと鳴る」ように設計されてるのがよくわかる。生ピアノだと音抜けだらけになっちまうのに、電子ピアノだと「いちおう弾けてます」みたいな音だもんね。うげげ。
さて、ピアノにかぎらず「すなおなヒトが上達する」のが鉄則なので、はい、すなおに「太る」努力をしてみよう。ついうっかり「いや、せっせと食ってもどうせハラにしか肉つかねーよなー」って思ってしまうけど、そんなひとりよがりはやめて、ちゃんと先生の言うとおりにしてみる。
なにせ「ふたりのピアノの先生」からご指南だ。手の大きさはどうすることもできないが、ぜい肉を増やすことは可能である。ピアノのためにデキることはすべてやってみよう。