「たいそう遠慮深く繊細なヒトたち」にどう接したらいいか?

4才下の妹のことって、わかっているようでほとんどわかっていない。ところが妹は「おねえのこと、ものすごくよくわかる」という。「だって、ブログ読んでるからよくわかる」

なるほど、そりゃそうだ。私の脳ミソは丸々ぜんぶこのクソブログにさらけ出しているから、リアルタイムで妹にわかってもらえるよね。近況報告として、ブログはきわめてすぐれた手段だ。このブログをはじめた当初は読者さんが2~3人だった。するとたまに0人のときは、あ、妹読んでへんなってようわかったけど、だいたい毎日読んでくれている。ありがとね。

さて、長年妹のことをよく知りたいと思いながらも、なぜかずっともどかしく感じていた。あんまり「わかってきた」という実感を持てないのだ。

けれども、私自身がカウンセラー養成講座を受講して、「傾聴」という技術をある程度身に付けた結果、なるほど、だから妹のことがよくわからないのだと腑に落ちた。


それは、妹があまりにも遠慮しすぎていて、「自分に関することを話す」のをすぐに引っ込めてしまうからだ。たとえば、妹が好きなサイトとかの話をしても「おねえは興味ないでしょ? わかるよ」と言って、すぐにさっと引っ込んでしまう。

あんまりささーっと逃げてしまうから、なんか深追いするのをためらってしまう。いや、べつにそういう妹を責めるわけじゃないよ。ええとね、なんかさあ、「さいしょからあきらめきって、しょんぼりしている」みたいで、……困るかなあ? あと、シャッターガラガラ~って感もある。コトバ悪くてごめんね。

まあ、たぶんほんと「あきらめた」からだと思う。
妹は小学1年のとき、両親を見限ったのだ。妹の表現ではないけど、「このヒトたちはダメだ。自分に『親』はいないのだ。自分ひとりで生きていくしかない」と悟ったらしい。

その話を妹からはじめて聞いたのは、もう15年ほど前かなあ。そのときは私もまだパープーで、いや、いまもパープーだけど、とくに心理の勉強もしていなかったし、妹がなんのことを言っているのかぜんぜんわからなかった。


そもそも、子どものころ、妹はまったくしゃべらない子だった。私が10才ぐらいで、妹が6才のころの記憶をたどっても、なにひとつ言葉を発しない子で、私は自分がガキであってもさすがに「へんな子だな。しゃべりもしないし笑いも怒りもしない。なに考えてるのかさっぱりわからない」と思っていた。

ちなみに、母ちゃんは80才越えた時分でも「あの子の表情がわからない」と言っていた。

結局それほどまでに、妹は自分のすべてを封じ込めてしまったんじゃないかな。きっと小学1年のとき以来ね。ただ、そんなに幼いときにそこまで悟れる能力があるということがものすごくふしぎだった。たしかに妹は非常にアタマがよかった。幼稚園のころから漢字交じりの本も平気で読んでいた。しかも毎日何冊も読破する。

しかし、7才ぐらいで「自分から、親を縁切りする」なんてできるのだろうか?


そうしたら、カウンセラー養成講座の受講生のひとりが、ちょうど妹とおなじような体験をしていた。個人情報に関わるからぼやーっとしか書けないけど、ほとんど同じような感じだった。そんなに小さい子どもであっても、「感じ取れる子ども」は実在していたのだ。

早々に「親」を見限る場合もあれば、「時代」を見限るとか、「世界」を見限る子どももいるらしい。わかる子はわかるのだ。

その能力はすごいことに思えるけれど、本人はその後かなり苦労するんじゃないかなあ? まあ、妹だったらいまでも「自分を出せない」もんね。だれかに「わかってもらう」ことをあきらめきっている感じだ。それは、つらいよねえ。

とくに私は「自分を出し過ぎ」なので、え?これいっさい禁止されたら、どないして生きてええかわからへん。そんな私でも、セミナーやカウンセリングで「春子さんはものすごくガマンしている。抑圧している」って言われるんよ。こ、こんなんでもっ! まだ出し切ってへんって!


それで、そんなふうに「あきらめている」ヒトたちって、ほぼ「自分の希望」とか話さないねえ。「ぜんぶ相手に合わせる」のがデフォルトみたいだ。なので、そんなヒトたちと「話し合っている」つもりでも、うっかりすると「私の都合」で片付けてしまいそうになる。

先日、あるヒトとある日程を打ち合わせたのだが、この現象が起こってしまって、もう少しで「私の都合でぜんぶコトを運ぶ」ところだった。よくよく尋ねたら、それでヤるとお相手がすごく困る日程だったのだ。そのヒトのことはくわしく知らないのだが、まあなんとなく妹と感触が似ていた。すごく「相手優先」のところがね。

こんなふうに「相手優先モード」のヒトと接するときは、気をつけないとねえってつくづく思った。ついうっかり「それじゃ、コレコレでいいですね。ついでにコレもお願いしてもいいですか? あ、だいじょうぶ? じゃあアレも、なんだったらソレもよろしく」ってなっちまうよ。

こういう繊細で遠慮ばかりしているヒトたちは、こっちが気づいて「ほんとに、それでかまいませんか?」ってそっと訊いたほうがいいねえ。心のなかで「ずっとそれでやってきたんですね。たいへんでしたね」ってこっそり案じながら。

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