1ヵ月ほど前、これまた急にパートを辞めてしまった。私はすべてにおいて計画とか立てられなくて、ぜんぶ行き当たりばったりだ。たまたまそうしたくなったらそうするだけである。しかもすぐ実行するから迷うヒマがない。
パートを辞めたら、仕事関連の悩みがごっそりなくなった。すごくいいことなんだからもっとよろこべたらいいのに、いったい何を悩んでいたのか?をもう忘れてしまった。
そうそう、仕事を覚えられないとかデキないとか、……いやいや、それが悩みじゃねーよ。
だれかから「そのことを責められる」のがしんどかったんだよねえ。
しかし、モトを正せば「だれかに責められる」のがしんどいんじゃない。
「だれかに責められる」ことが引き金になり、むかし「母に責められていた」傷がズキズキするからつらいんだわさ。
まあ、でも、わざわざ好きこのんで「傷口に塩塗るところ」に出かける必要はない。避けられるんだったら、近寄らないほうがいい。パートは辞めてほんとよかったな。
とはいえ、思いがけないところからまだまだ「親」は出現する。
ここしばらく「ツェルニー礼賛」していたけど、そもそも2年前からツェルニーもちゃんと練習していたら、いまごろこんなことを言わないで済んだわけだ。
レッスンの課題で「ハノン+ツェルニー+バッハ+ソナチネ」と出されていて、ごくすなおに当たり前にまんべんなく練習していたら、基礎力もついて、いまよりマシに弾けるようになっていたはずだ。
しかし私は「バッハが好きだから、バッハの部分練習をおもくそやれば、ツェルニーをそんなにやらなくても弾けるようになる」と勝手に思い込んでいた。
それが大まちがいだったと、いま気がついたのだ。
で、しかも、私のこの「バッハ偏重」ってかなりイヤらしい根っこがあるとわかってきた。
昨日の記事「すなおじゃなくて我を通した結果がコレなんだ」について、堀江さなえさん(ビリーフリセット認定カウンセラー)がこんなコメントをくださった。
「それだけ、我を抑えなければならなかったんだね、という気がして切ないよ」
私は、このコメントを読んでかなりギョッとした。あまりにも予想外だった。ツェルニーの効果でちょっと速く弾けるようになってはしゃいでいた気分がいっぺんに醒めてしまった。
カウンセラーのひとって、ほんと「鏡」になってくれるよね。自分がいまどんな顔してるのかぜんぜんわからなかったけど、堀江さなえさんが「ほら、こんなだよ」って見せてくれてようやくわかった。
ほんと、そのとおりだね。
私は、むかしあまりにも親に無理強いばかりさせられたから、いまやもう、だれの言うこともすなおに聞きたくなくなっていたんだよ。
だから、「自分のやりかたに固執」していたのだ。2年もね。
ああ、また「親」がモトなんだよね。
と、ため息をついたと同時に、私がなぜこんなにバッハにこだわっているか?も悟らされた。
それはね、バッハはむずかしいからだ。むずかしいバッハを弾けたらカッコいいからだ。なので意地になって練習していたのだ。
カッコつけるだの意地だの、それもまた「親」に認めてもらいたいからだね。
ああ、母ちゃん父ちゃんに私は一生支配されるのだろうか?
ちゃうちゃう。
その親ってリアル親じゃなくて、私自身の心のなかに「内在している親」であって、つまりそれって「自分」なんだよね。自分で自分を痛めつけているだけのハナシですな。
けれども、こないだ雷が落ちてくれたからねえ。
アレに感電したおかげで、ピアノも「アホ」になったから、ずいぶん安心している。
「山」では徹頭徹尾「アホ」だったから、たとえば、短縮登山道ができていて3時間で登れる山でも、わざわざだれも歩かない旧道をテントかついで二泊三日もかけて登ったりとか、数々の奇行をしでかしている。
なんの意味もないんだよね。
ただ「やりたいからやる」だけ。
まあ、山でそんなんやってるヤツはぎょーさんおる。日本三百名山なんてごくふつうで、それどころか1003山やってるひともおるからね。一回出会ったことあるけどね。そのときで800山ぐらい登った言うてたかな、そのおっちゃん。
百名山でも、沖縄在住でやってるひとおるもんね。沖縄に百名山はひとつもないから、どこ登るにしてもぜんぶ飛行機でかなわんらしい。
でも、海外登山にハマッてるひとは一山100万円でしょ。「海外100山登った」っておばちゃんおったけど、ねえ、1億円だもんね。そのひと、ネパールぐらいひとりで行ってさっさとポーター雇ってホイホイ登れるそうで、まあ、そういうひとの話聞いてると「正しいアホのやりかた」がよくわかる。
べつに大金かけるわけでもなく、ただ「ヤブ山」が好きで、わざわざ登山道のない山に分け入って、猛烈なヤブのなかで空中戦(ヤブが密生していて地面に足がつかない)やって、1時間に100メートルしか進まないのがたまらんっちゅーヤツもおる。
アホとはそういうことなので、これからはピアノもその路線でいてこましたろ。