凡人は「ニブいのがデフォルト」ですみません

「どこまで違いを聞き取れる?」という文字と、「蓄音機」のイラスト 音楽

ピアノで「小さい音がある」と、やっとわかったきた。

いまごろ、ねえ。

「いま、わかってきた」ということは、「以前は、わかっていなかった」ってことで。

そこまでアホやったんか、とあきれている。

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しかし、だから自分のピアノは、もっさあとして、トロくっさいのか、とも思う。

一本調子で、ブツ、ブツ、ブツ、ブツ、と置いていくから、ぜんぜん音楽になっていない。

拍子のこともずっと教わっているけど、いやいや、ほんとに拍子なんとかしなきゃと思いはじめたのは、ついこないだから。

強拍と弱拍とか、抑揚とか、そういうのがないと音楽にならない。音楽的に歌えない。

で、そういう音楽にするには、強弱を自由に出せないといけない。

数年前、ちょっとだけ合唱をやっていたことがある。

歌は、まったくはじめてだった。

合唱の先生は「音をひとつひとつ切って歌わないで」とよく注意してた。




なるほど、歌だからといって、歌えばそのまま「音楽として歌っている」になるかといえば、そうかんたんにならない。

入団するのにテストもないし、私のようなしろうとが加われば、歌っても、音が1個ずつブツ切りになって、ぜんぜん流れない。

「お、は、よ、う、ご、ざ、い、ま、す」みたいに、べったーんと音が、しかも音程のはずれた音が、ブツ、ブツ、ブツ、ブツと散らかっていくだけ。

合唱の先生「いっこずつ、首振って歌わないっ!」

ああ、すいません、声出すのに必死で、私、首振ってたわ。

いま思うと、その当時も、やっぱり「声の大きい、小さい」はまったく理解していない。

「とりあえず、楽譜どおりの音を出す」ことしか、アタマに上らんのよ。




ウチで練習もしてたけど、もちろん「音楽らしい抑揚をつけよう」なんて、微塵も思わない。

「ぐろー、おー、おー、おー、おおおお、おーりーあー、いーんー、えく……」って首振ってるだけ。

「ぐろー、おー、おー、おー、おおおお、おーりーあー」とは「グローリア」なんだけど、「つなげて歌おう」「3拍子らしく」とか、タダのいちども思わなかった。

たぶん、あのままずっと合唱やっていても、音程のことしか考えずに一生終わっただろう。

ピアノは、押すだけで音が出るから、ますますなんにも考えていない。

とりあえず楽譜どおりのタイミングあたりで、その音が出ればいいか。



自動販売機的ピアノ練習
コーヒーのボタンを押したら → 缶コーヒーが出てくる。
ドの鍵盤を押したら → ドが出てくる。

やっぱり、こうなってるな。

ただねえ。

言い訳になるけど、自動販売機になりがちなのが、まあ、凡人のデフォルトちゃう?

拍子感とか抑揚とか、それがキモだといきなりわかるヒトって、それこそ音楽の才能があるんじゃないかねえ。

私はいま、自分は音楽の才能がないと、冷静にわかった。

長いあいだ音楽を聞いてきたけど、「音の大きい、小さい」に気づいたのが、つい最近だ。

ピアノを弾くんだったら、どの音を大きくして、どの音を小さくするか考えて、そういうふうに指をコントロールしないといけない、とやっとちょっとわかった。




でも、それで困ったことはない。

困っているのは、ピアノの先生だけだな、たぶん。

本人は、そういうこまかいちがいが、もともとわからない。

先生のお手本演奏からも聞き取れない。

「わからない、存在していないモノ」を、自分が弾いて、表現できるわけないよねえ。

だから、ああ、そういうのを聞き分けられるかどうかは、きっと生まれつきの才能だと思うよ。

なので、まあ、凡人はこのぐらいでええかと思っている。

しゃーないもん。




ただ、「かろうじて気がついたこと」ぐらいは、少しずつやってみよう。

今回でいえば、「音の大きい、小さい」ね。

なんか一挙にやること増えてタイヘンなんだけど、ぼちぼちと。

あ、そうそう、「才能がある」って、「聞こえないモノが聞こえる」「見えないモノが見える」、つまり「ふつうは感じないモノを感じる」、そういうことじゃない?

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