「ピアノの音色」というのは、何種類もあるんだ。
ということに、だんだん気がついてきた。
いまごろ。
そう、いまごろねえ。
あらためて、なんにもわかっていなかったなあ、と思う。
ずいぶん長いあいだ、「メロディー」しかわからなかった。
ああ、「ドーーミーソーシーードレドー」というメロディーの曲だなあ、としかわからなかった。
自分でも、どんだけアホやねんって思うけど、ずーっと長いあいだ「音に『強弱』がある」ってことに、気がつかなかったのよ。
子どものころ、いちおうピアノを習っていたけど、わはは、「強弱なし」で弾いていたわ。
ほんま、楽譜に「ド」があったら、鍵盤の「ド」を押す。
楽譜の「ミ」を見て、鍵盤の「ミ」を押す。
コーヒーのボタンを押したら → 缶コーヒーが出てくる。
ドの鍵盤を押したら → ドが出てくる。
↑ずっとコレやってた。
だから、ピアノの鍵盤を弾くというより、ボタンを押す感じね。
そうそう、強弱なしのキーボードを押しているみたいな。
で、「音に強弱がある」ということに気づいたのが、40歳過ぎてからだった。
いやあ、びっくりしたよ。
わ、音楽って、ぶわーっと音が大きくなったり、しゅーっと小さくなったりするんだなあって。
はは、あまりのアホさ加減に笑えてくるけど、すいません、40年間もわからんかったなんて。
まあ、そういうのをCD聴いていて「ほんのちょっとだけ」わかるようになってきた。
ふう。
それから、さらに20年近くたって、いまですやん?
やっぱり根本的に「聴き取る能力」が低いから、フレーズの終わりでドッシンとなっていても、わから~ん。
アタマでよくよく考えて、ああ、おしまいの音だからちっちゃくしなきゃ、だけど、それもなあ。
それって、結局「音楽で当たり前のこと」が、まだまだ沁み込んでいないんだね。
で、ブサイクな演奏になっちゃうんだよ。
「ピアノの音色」も、ちがいがあるということに気づいたのが、今年になってからかな?
ちなみに「ピアノのちがい」は、いまだにわからんのよ。
これもむかしからぜんぜんわからなかったが、いまもほとんどわからない。
なので、ピアノのメーカーとか機種とか、なんのことかわからんねえ。
まあ、自分で弾いていて、生ピアノと電子ピアノのちがいは、わかるようになってきた。
電子ピアノの音が「きれいすぎる」のはわかる。
「生ピアノのちがい」は、とりあえず後回しにしよう。
練習していて問題なのは、やっぱり「強弱」と「音色」。
そもそも、どういう音の強さで、どういう音色で弾くのか?と、自分で予定(?)を立てておかないとダメだとわかってきた。
いまはねえ、行き当たりばったりですな。
たまたま、まぐれで「当たり」のときもあるけど、いや、大半「はずれ」か。
「なんとなく、おおざっぱにこんな感じ」ぐらいでしか弾いていない。
前々回のレッスンのとき、先生が「そろそろ『自分の音』を意識してみましょう」とおっしゃった。
「これが『私の音』『私の響き』」という感覚を持つようにとのこと。
ごくしぜんに、いつもその「私の音」で弾けるようにしておくように、と。
ああそうか、いっつも行き当たりばったりじゃいけないんだなあ。
う~ん、なんとなくすごく自信がなくて、たまたま出た音にまかせてしまっている。
どこかでやっぱり「自動販売機ぐらいでいいや」とあきらめてしまっている。
え? そういうの、やめるのか?
そうかもしれない。
自分で積極的に「こういう音を出す」と思って弾くのか?
げっ、怖っ!
「私の音」だなんて、そんなおこがましい。
と思うのだけど、その「怖さ」を飛び越えるってことかねえ?
ピアノを弾いていて、楽しいな、おもしろいなとは思うけど、そういう「怖いところ」は避けてきた。
でも、あえて「怖いところ」へ行ってみるの?
ぐわっ。