私もいっしょに「う~ん」と唸ってしまった。
不動産屋さんも、こういう現状は知らなかったと、よくわかったので、不動産屋さんの落ち度でもない。
ただ、なにせ私は「後からやってきたヨソ者」なんでね。
ゴミ屋敷親子も謎男さんも、何年も前から住んでいて、ずっとドンパチやってたんだよね。
それに「ごく普通の家」の奥さんは、すぐそばにもかかわらず、ずっと住んでいる。
怒鳴り合いのケンカがエキサイトしてくると、私はつい、2階の窓を数センチ開けて、様子をうかがう。
すると、たまに「ごく普通の家」の奥さんも、窓から見ていたりする。
うん、だから、その奥さん、ずーっとその惨状をよくご存じのはず。
でもまあ、なんとなく思うに、それほどウンと悩んでおられないような気がするのよ、その奥さん。
ちなみに、そのおうちは、りっぱで堅牢そうな造りで、たぶん鉄筋コンクリート造かな。
だから、おうちの中では、それほど外の音は聞こえなさそうだ。
で、こないだ外壁工事もやってたでしょ?
まだまだずっと住み続けるにちがいない。
なので、私もココに住んで住めなくはないかなあ……
ただし、ピアノを弾けるようにせんといかん。
私は不動産屋さんに、こう告げた。
「すみません、さっき引っ越すと言ってしまいましたが、もう少し考えてみます。
あのう、1階に防音室を入れられるかどうか、検討してみます」
前のマンションで、見積もりをしてもらった中古防音室は、まだ売れずに残っていたのだ。
だから、その防音室を1階の部屋に入れられるかどうか?
けどねえ、これだけスキマだらけのウチでしょ?
「ピアノ+防音室=890kg」なんかブッ込んだら、いっぺんに床抜けるんちゃう?
だが、先日の楽器店にお願いしたら、またも快くすぐ見に来てくれた。
スタッフさんは、ピアノのある部屋をひと通り踏みしめて、床の状態を確かめておられた。
そして「あくまでも簡易的な調査ですが、床下を見てきます」と言って、家の外へ出ていった。
私は、そのまま中にいた。
うっかり外に出ると、まただれかに見られて、なにか言われそうだからだ。
ドキドキしながら待っていたら、じきにスタッフさんが戻ってきた。
「じっさいには工務店とかに見てもらうことになりますが、
これは、おそらく床下補強工事が必要ですね」
やっぱりそうか。そうだろうねえ。
私「ですよね」
「賃貸でお住まいですか?」
「はい、そうです。まあ、大家さんの許可が必要ですよね」
そうだとわかっていたが、やっぱり工事が必要だ。
またまた楽器店さんには、ムダ足を運ばせてしまった。
ふう。
ま、わかってたけどね。
床、ところどころブカブカしていて、グランドピアノだけでも心配だったんだ。
ネットで、床下補強工事の費用を調べたところ、20~30万円ぐらい。
はあ。
しかも、大家さんの許可が出るかどうかもわからない。
どないしまんねんっ?!