しかし、ゼニの算段の前に「やらないといけないこと」がある。
それは「大家さんの許可」である。
ええと、「防音室」って重いんですのよ。
3畳サイズ(グランドピアノが入る)だと、だいたい600kgもある。
これはまず、防音材や断熱材がめちゃくそ重い。
それに、防音室内の音の反響を防ぐために、吸音材や拡散材がぶ厚い。
そもそも、グランドピアノが重い。
私のは290kg。
ピアノ+防音室=890kg。
1トン近いものを、鉄骨ワンルームにホイホイ入れられますかね???
いちおう建築基準法では、「㎡あたり約180kg」らしい。
これは「2畳に400kg程度」。
なので、この部屋は8畳なので、1,600kgまでは範囲内。
しかし、この「㎡あたり約180kg」というのは「床が破壊されない」という意味に近く、実際には床がたわんだり下がったりすることもある。
そ、それはヤバい。
てか、私は阪神大震災で被災しているから、地震のヤバさは目の当たりにしている。
だって、近所の鉄筋マンション、1階が駐車場のヤツって、1階部分がペシャンコになって、2階が1階になってたもんね。
そういうマンションがゴロゴロ。
自分ちのマンション、10階に住んでたけど、コンクリの壁がゴッソリ崩れ落ちて、外が丸見え。
それで「半壊」という判定になり、住めなくなった。
地震のコトを考えたら、なんかもう、床が抜けるのが当たり前みたいだ。
しかし!
グランドピアノは弾きたい!
ゼニがすっからかんになろうが、床が抜けようが、そんなモン、知るかよっ!
いま弾けたらええんじゃ!
床が崩壊したら、そんときゃトンズラこいたらええんじゃ!
というわけで、私は不動産屋さんに、電話でシレッと訊いてみた。
「えっとぉ~、音が聞こえないようにちゃんとするんでぇ、ちっちゃい防音ユニット入れてもいいっすか?」