もし仮に、大家さんから「床下補強工事」の許可が出たとしよう。
まあねえ、借りてるヤツが「30万出すから、工事していいっすか?」と言えば、OK出そうな気もするが。
だって、床全体を補強する工事だもんね。
それプラス、防音室の費用100万円。(正確には 1,003,200円)
ただ、そこまでやっちゃうって「ココに永住する覚悟」があってのことでしょ?
う~ん、じつに悩ましいけど、あのう、「永住したい」とすなおに思えない。
実家暮らしも含めて、いままで60年間、あちこちに住んできたが、これほどトラブル(と私には思える)が多い家ははじめてだ。
あの「ごく普通の家」の奥さんは平気そうな様子だけど、ああ、私はそこまで達観できそうもない。
しばし考えたが、結論。
よし、引っ越そう!
まずネットで、物件情報をシラミつぶしに見まくった。
今回の件で非常に懲りたので、いかに楽器可であっても、「隣近所から十分距離があるところ」を入念に調べた。
いまはグーグルマップがあるから、ありがたいねえ。
物件の位置さえわかれば、隣からどのぐらい離れているか、航空写真とストリートビューで、すぐさまわかる。
世の中こんなに進歩しているのに、「怒鳴り合いのケンカをやめさせる」「覗きをやめさせる」「しょっちゅうウチに来るのをやめさせる」ってたぐいはむずかしいもんだね。
で、不動産サイト「ホームズ」「スーモ」「アットホーム」「スマイティ」「Yahoo!不動産」「ニフティ不動産」「goo住宅・不動産」をぜーんぶ調べた。
そのうちの1軒、隣からものすごく離れている一戸建てを見つけた。
ええと、山の中にポツンポツンと点在している家のうちのひとつだ。
それは「別荘地」にある1軒だった。
これならええんちゃう?!
別荘なら、ふだん留守の家も多いだろうし、だったらピアノ弾けるんちゃう?
ただし、かなり山の上だ。
地図から標高を調べてみると、標高260m。
大昔、山登りをしてたころなら、このぐらいの標高って「屁」みたいだったが、いまはもう、自分ちの階段すら、ぜいぜい言うて苦労しとるわの。
けど、こんだけ山の上だと、隣から数十m離れている。
いけるんちゃう?
私は浮かれ気味に、不動産屋さんにラインで連絡した。
すると、しばらくして返事があった。
「現地に行くまでの道が、急坂の山道で大変ですよ。
それに……水道、ありません」
えっ?!