母が転倒したとき、いったいどうするか?
母も非常に用心しているものの、脚力はおとろえる一方だ。
私と同居する前は、サ高住に入所しており、週3回デイサービスに通っていた。
サ高住と同じ建物の1階にあるデイなので、往復の運動量はたいしたことないが、それでも軽い体操をしたりとか身体を動かす機会はあった。
しかし、7月から在宅になって以降、デイには行かなくなる。
そうなると、一日のうち、歩くのはトイレに行くときの数歩のみ。
シルバーカーから両手を離すと、とても危険なので、身の回りのモノを取るのも私がやっている。
そもそも食事も飲み物も、自分では持って運べないので、コレも私が台所から出したり引っ込めたりしている。
「自力でデキることは、なるべくヤれるように」ってのは、まあ大事だろう。
そうすることによって、歩いたり動いたりする機能も、あるていど維持できる。
けれども、私は「母の気もち」を優先することにした。
もう母は「歩きたくない」と言う。
「ずっと座っていたいの。歩きたくないの」
そりゃね、ある意味「自然なコト」じゃないか。
もうそういう「お年頃」なんだよ、90歳って。
老いてきたら、いつか「もう歩くのは引退」と思うばあちゃんがいても、当たり前。
ま、90だろうが100だろうが、モリモリ鍛えて歩きたい高齢者は、それでいいけど、やるやらないは、そのヒトの自由。
もともと母は、身体を動かすことが得意じゃない。
ダントツに好きなのは「歌うこと」。
だったら、そっち方面を維持しておけばよくて、なにも不得手な歩行をがんばらなくてもね。
さて、前回コロんで、自力ではまったく立ち上がれない状態になったのは、9月2日。
私も、はじめての経験だったので、けっこうあわててしまった。
最終的には、介護ベッドに引き上げられたが、「50kgの物体」をひとりで取り扱うのが、これほどむずかしいとは!と痛感。
むかし私は、山登りをしていたので、「ブツの重さ」ってのは、体感としてよく知っている。
たとえば、夏山テント泊なら、ザックの重さは18kgほど。
これに、とちゅうで水を追加して、だいたい20kg。
20kgなら、ごくふつうに担いで登れる標準的な重さで、なにも困らない。
しかし冬山なら、装備も増えるので25kg以上になる。
自分の体重の半分にもなると、やっぱり背負い上げるのもひと苦労。
両手でザックの肩ベルトをつかみ、まず自分の片ヒザにザックを乗せ、それから背負い投げ?みたいな要領で、ヒザのザックを背中へすばやく移動させる。
こんなんラクにデキるの、まあ、40代ぐらいまででっせ?
だもんで、「50kgのブツをなんとかする」のは、あたいひとりじゃムリっ!とよくわかった。
そのため、電動昇降座椅子のレンタルや、スポット対応できる訪問介護とか、いろいろ検討してきた。
……なんですがね。
今日の午後、母の部屋から大声が聞こえた。
「春ちゃ~ん、すぐ来て~っ! コロんじゃった~っ!」
私が急いで、母のところへ行くと、ソコには……?!