ピアノレッスン第116回 記録 |うつくしい物語を奏でたい

「その音にどんな想いを込める?」という文字と、「窓辺の女性」のイラスト ピアノレッスン記録

ここしばらく、ピアノを弾くと、「首」が痛くてね。

弾いたら、首がミシミシ痛くて、あんまり練習できなかった。

まあ、「借金(グランドピアノ)で首が回らない」からだろう、きっと。

首はともかく、オクターブを弾かなくなったら、手はどんどんラクになってきた。

こないだ、ちょっと「手」に訊いてみた。

あのさ、どんな感じ?

私の手
私の手

オクターブ、弾きたない。

はあ、そう。

私の手
私の手

わしゃ、これから「ド-ラ」しか、弾かへんで。

はあ。





まあ、「手」本人が、そない言うてるんやから、しゃーない。

ただ、「手」の本音を聞いてみたら、私は意外と納得した。

ああ、こいつ、苦労したないんやな。

文字通り、「手の届く範囲」でしか、やりたないんやな、と腑に落ちた。

1日当たりの平均練習時間
レッスン日 平均練習時間/日
2021/10/26(火) 0時間52分
2021/11/02(火) 0時間59分
2021/11/08(月) 1時間51分
2021/11/16(火) 0時間55分

むう、「手のわがまま」に甘い顔してたら、また練習時間が減ったよ。

あのなあ、発表会まで2か月やで。

もうちょい、なんとかせんと、また「地獄の一丁目」やで。

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ハノン

ハノン40番│半音階│短3度│1回目のレッスン

ハノン40番│半音階│短3度の楽譜、1-3小節

ハノン40番│半音階│短3度の楽譜、1-3小節

前回は、両手とも同じ音。

しかし、今回は「短3度」で。

なに、その「短3度」って?というのは放っといて、1回弾いてみたら、

先生「カサカサしていますね。うすーくジャム塗ってみましょうか?

パンに、うすーくジャムを塗るみたいに

なるほど、ジャムね。

でも、まだところどころムラがあったので、もう一週間さらうことに。

変ニ長調スケール│1回目のレッスン

ハノン39番 変ニ長調スケールの楽譜、1-4小節

ハノン39番 変ニ長調スケールの楽譜、1-4小節

スケールもデコボコしていた。

むうう、練習不足だあ。

当然、不合格。

いま使っている楽譜 ハノンピアノ教本 全音ピアノライブラリー



ツェルニー40番の19番│2回目のレッスン

ツェルニー40番-19番の楽譜、1-3小節目

ツェルニー40番-19番の楽譜、1-3小節目

右手、きれいに回転させて弾けない。

先生「ド↓ラ↓ファ↓ド、これはしんどいですか?」

「はい、そうですね。もう少し、幅が狭ければ……と思いますね」

そうだよなあ。

「手」の言い分もそうだったけど、「ド↓ラ↓ファ↓ド」を、レガートで弾くのは、もうしんどいな。

なんだか、今日は「手の勢力」がぐいぐい強い。

先生に対しても、けっこうそのまま「よくないカタチだとわかっているのですが、こう弾くとラクなんです」と言い訳してしまった。

コレって、まさに「手」の言い分だよねえ。




先生は、いまの様子をじっくり観察されたり、それから、過去の状態についてもいろいろ尋ねてくださった。

そして、最終的に「練習曲の目的よりも、手のほうが大切ですからね」とのこと。

ただし、私はとても驚いたのだが、先生からご覧になって、「その弾きかたも音も、手が痛いようには、まったく思えません」ということだった。

へええ。

さすがに先生は、だれの演奏を見ても聴いても、「そういう弾きかただと、手が痛いかどうか、すぐにわかります」

でも、私の弾きかたは、「ちっとも痛そうではない」らしい。

ええと、それはー、むかし、バイオリンの先生にも言われたなあ。




バイオリンはイチから習って、それこそ先生に習ったとおりのフォームで弾いて、でも激痛で、すぐに弾けなくなった。

バイオリンの先生「それの、どこがどんなふうに痛いの?!」と、すごく驚いておられた。

な、なんだろう?

私の手、呪われてるのかっ?!

うん、母ちゃんの呪いらしい。マジで、カウンセリングでそう言われたよ、以前。

んで、とりあえず「自分の理想」は棚上げにしよう。

コレがヤバそうなんだよ。

「こう、弾きたい」ってのが、おまい、どんなレベルやねん?

ピアノの先生も「乗り越えたらいけない範囲の手前で、やめておきましょう」とおっしゃった。

これからしばらく、「手」がどうしたいのか?を最優先にする。

私の手
私の手

よっしゃ。

いま使っている楽譜 ツェルニー40番練習曲 全音ピアノライブラリー



バッハ:フランス組曲第3番 サラバンド│3回目のレッスン

手が痛かったら、ものすごく困るか?

いや、べつにそんなことはない。

ゆったりした曲で、届かない和音がなかったら、なんにも支障ない。

とくに、バッハは、なにがなんでもレガートじゃなくてもいいし。

そもそも「ピアノが存在しない時代」に作曲されたから、自由度が高いと思っている。

現代ピアノらしくないけど、ちっせえ音でもていねいに弾けば、たぶんバッハならいけるかなあ。

バッハ:フランス組曲第3番 サラバンドの楽譜、1-4小節

バッハ:フランス組曲第3番 サラバンドの楽譜、1-4小節

そして、「妄想」を働かせて弾けばいい。

どういうストーリーや背景を考えるか?には、手の都合は関係ないのだ。

まあ、その「心情」を演奏に反映させるテクニックは必要だけど、それを磨くのに、あまり手に負担はかからない。




このサラバンドは、先週、先生から伺った「お話」をふくらませて、こうしようかな、ああしようかなと、とても楽しく練習した。

ぎこちないツェルニーよりは、マシに弾けたかなあ?と、通して弾き終わったら、

先生「はい、ずいぶんよかったですよ。はは」と笑っておられた。

しかし、出だしをもっと、すぅーっとなじませて弾くように。

そうだよね、出だし、この曲に限らず、いつも緊張しまくるよ。

先生「まず、大きく息を吸って……、そして、はぁぁっと、ゆっくりため息をつく、とします。

そのため息が終わる、少し前に、ふっと音をなじませます

ああ、なるほど! ため息ね、そうそう、ため息がぴったりだよねえ。

そして、「下降する音」は「歌わない」。

先生「下がる音は『知らん顔』しておいてください」




▼17-20小節。

バッハ:フランス組曲第3番 サラバンドの楽譜、17-20小節

バッハ:フランス組曲第3番 サラバンドの楽譜、17-20小節

先生のたとえを、ちょっとだけ、書かせてもらう。

先生「右手は、とても『高貴なひとの嘆き』なんですよ。

それに対して、左手はお付きのひと。

影のように寄り添って、ひっそり相槌を打つんです」

う~ん、ということは、18小節の左手と、19小節からの左手は「別人」なんだなあ。

もしかすると、19小節左手は、「鍵」となる人物かもしれない。

うわ、どんな表情なんだろう?

先生「イマジネーション、とても大切ですよ。表現しやすくなります」

ほんとそうだねえ。

人物の表情や視線を思い浮かべると、だんだん「音がことば」のように聴こえてくる。

いま使っている楽譜 春秋社版 バッハ集 3



モーツァルト:ピアノ・ソナタ第4番K.282 第1楽章 変ホ長調│6回目のレッスン

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第4番K.282 第1楽章 変ホ長調の楽譜、1-3小節2

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第4番K.282 第1楽章 変ホ長調の楽譜、1-3小節

またしても「音抜け」が多すぎた。

先生「いかに『思慮深い音』でなかったとしても、鳴らないよりマシです。

『ない』と、物語がとぎれてしまいます」

ええと、もちろん音抜けしないように注意するけど、「思慮深い音」って名言だなあ。

じゃなくて、考え過ぎる前に、まず「音を出す」。

小細工の前に、まず「ふつうに音がぜんぶ鳴る」ようにしないと。




▼いちばん最後の一音。

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第4番K.282 第1楽章 変ホ長調の楽譜、34-36小節

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第4番K.282 第1楽章 変ホ長調の楽譜、34-36小節

もうね、成功率1割切ってるかも。

以前のように、「オラ、100回!」みたいな鬼練してないからね。

でも、練習しないと、いつまでたっても弾けないし。

▼ちなみに、ずーっとご指摘を受けていた左手、ずん、たっ、たっ、たっ。9-10小節。

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第4番K.282 第1楽章 変ホ長調の楽譜、7-11小節

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第4番K.282 第1楽章 変ホ長調の楽譜、7-11小節

今日もヘタだったけど、とくに注意はされなかった!




それはだね、いちおうココの左手だけは、毎日30回ほど練習していたからだよ。

やっぱりねえ、練習したら、しただけの効果はあるのさ。

ほんま、「練習したけど → ぜんぜん弾けない」って、いまのところまったく経験なし。

練習していないから → 弾けない
練習したら → マシになる

なんだろね?

世の中、「がんばったけど → デキない」ってのは、いくらでもあると思うけど、「ピアノは例外」ですやん?

いま使っている楽譜 モーツァルト: ピアノ・ソナタ集 第1巻/ヘンレ社/原典版



今日のレッスンを振り返って

「うつくしさを学ぶ」って、いいものですねえ。

レッスンはいつも、「うつくしさを、いかに愛でるか」って感じで。

「うつくしさの磨きかた」を教わっているわけで。

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