こうして、すったもんだのあげく、私は中古マンションを、99万円で手に入れることができた。
まあ、ブチ切れていた売り主さんには申し訳ないけど。
不動産の売買ともなれば、こっちが50万得したら、あっちは50万損する。
これ、べつにメルカリの値下げ交渉でも、こっちが500円得したら、あっちは500円損、って当たり前だけど、いやまあ、中古マンションじゃあ、ケタがちがいすぎるか。
じつは、不動産屋のKさんが、あとでこっそり教えてくれた。
あの売り主さんは、いろいろ事情があって、早く投資物件を処分しないといけなかったらしい。
けれども、当該マンションでは、タイミング悪く、3戸も売りに出ている。
価格はどれも158万円。3戸とも、ガッチリ横並びで譲らない。
おそらく、その状況が、ある程度長くつづいていたのだろう。
99万円に値下げした瞬間は、こうだった
1月9日の夜、不動産屋のKさんは、お店に来ていた売り主さんと、打ち合わせをしていた。
3軒横並びで、動かないですからね。
ここはもう、思い切って、ウチがガツンと値下げしましょう!
…………
100万円切ったら、かならず売れます。
99万円でいきましょう!
…………
いいですか?
いいですね?
いきますよ。
ポチッ!
そう、そのKさんが、パソコンで値下げ入力「158万円⇒99万円」を、ポチッとした直後、私が、まさにその「99万円」の表示を見たんだよね。
で、私は、「どしたん?これ?! なんで59万も安なったん?! どーでもいいけど、明日行こっ!!」
そして、翌日朝一で、私はその不動産屋さんにすっ飛んで行って、内覧⇒申込金支払いした。
つまり、結果的にKさんの読みは、大当たりだったのだ。
事情があって早くカタを付けたい売り主さんのために、「100万円切ったら、かならず売れます」と断言して、ホントのホントに、その翌日にピシャーッと決まっちゃった。
いやほんまに、プロはすごいよね。やっぱりわかるんだよねえ。
売り主さんは、59万円も値下げして大損したのか?
それがね、ぜったい大損とも言い切れないんだよ。
というのも、このマンション、「ただ所有しているだけ」でも、かなり維持費がかかるのだ。
⇒毎月 15,051円、維持費が必要
また、この部屋は、傷んだまま放置してあった。
もし購入した場合、賃貸に出すにしても、購入者本人が住むにしても、ある程度リフォームをしないといけない。
同時に3戸売りに出ていて、ぜんぜん売れていない状態で、比較検討されたら、この部屋だけが売れ残ってしまう可能性もある。
だから、59万円値下げが、丸々大損か?というと、あながちそうだとも言えない。
さっさと売れてしまって、少なくとも、この物件に関しては、もう売り主さんはなにも考えなくていいのだ。
あんなに怒っていた売り主さんだが、救いは、奥さんかなあ。
ちょっとタイヘンそうなダンナさんなのに、ちっとも動じないで、おだやかであたたかい雰囲気の奥さんだった。
不動産投資に失敗しようが、なんだかんだ損ばかりしようが、パートナーがいいひとだったら、それが、いっちゃんしあわせかもしれない。
投資用マンションの管理費が高い理由
うん、このマンション、管理費はかなり高い。
たった16㎡なのに、ファミリーマンションよりも、ずいぶん高いようだ。
それには、投資用マンション特有の理由がある。
そもそも、このマンションのように、バブル期に建てられた物件は、管理費がものすごく高いのだ。
まあ、管理費どころか、新築価格がたぶん1,880万円(抵当権設定が1,690万円なので)というあきれた金額だから、もう管理費なんて取り放題だよ。
けれども、ふつうのファミリーマンションだったら、たいていは、バブル期に設定された高額管理会社をやめて、もっと安い管理会社にとっくに乗り換えている。
それは、ファミリーマンションならば、管理組合が、ちゃんと本来の役割を果たしているからだ。
バブリーな管理費をいつまでも払っていられないから、住民みんなが管理組合で話し合って、管理費値下げの交渉をしたり、場合によっては安い管理会社に変更したりしている。
しかし、投資用マンションでは、管理組合がほとんど機能していない場合がある。
バブル期に不動産投資をした家主のひとたちは、全国に散らばっており、かつ高齢化が進んでいるので、管理組合総会にまず出席できない。
というわけで、投資用マンションの管理費は、ずっと泡っぽい金額のまま放っておかれて、家主さんたちも、しょうことなしに支払いつづけている。