父の献体後火葬

父の献体後火葬

父の献体後火葬 その9 (最終回)

翌日(2017年7月20日)、いったん目が覚めたのは6時15分だった。早朝の飛行機に乗るひとたちが動きはじめている。といっても、みんな静かに移動していて、うるさくて困るというレベルではない。それより寒さ?のほうが気になる。毛布3枚でまだうす...
父の献体後火葬

父の献体後火葬 その8

飛行機は乗るまで時間がかかるけど、飛行はあっという間だ。離陸して、私のゆるゆるペースでぼけーっとしていたら、じきに着陸態勢に入っている。短すぎてもの足りない。午後10時46分には地元の空港に到着した。 地元空港から出ているバスは、じつ...
父の献体後火葬

父の献体後火葬 その7

さて、タクシーが来たので乗り込む。Sさんが骨壺を運んでくれたが「重いですねえ」というコトバが思わず出た。涼しいタクシーの中からSさんの姿を見送る。きっともう二度と会うことはないけれど、解剖から野辺送りまでずっと父に寄り添ってくれたひとだ。あ...
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父の献体後火葬 その6

帰りのタクシーは、Sさんが電話で呼んでくれた。入り口付近のベンチで待っているとき、もう気もちもゆるんでいたので、私は思い切ってSさんに尋ねてみた。 「あの~、遺族のかたで、ご遺体のお顔を見たいと言われるひとはおられますか?」 じつは、...
父の献体後火葬

父の献体後火葬 その5

ほとんどのお骨を骨壺に移し、もう最後に近いかと思われたころ、斎場スタッフさんが「これが喉仏です」と小さい骨を箸でつまみ上げた。私は、ああやっぱりと思った。母の養母の火葬のときにも「喉仏」の説明があったからだ。 今回は、私の勝手でいちお...
父の献体後火葬

父の献体後火葬 その4

やがてSさんと斎場スタッフさんが私を呼びに来たので、階下に降りる。火葬に要した時間はちょうど1時間だった。スタッフさんに例の「炉の鍵」を渡すと、おもむろに開錠されて、中からガラガラと父の遺灰が引き出された。台の上には白じらと骨だけが散乱して...
父の献体後火葬

父の献体後火葬 その3

あっけなく父を炉のなかに見送ってしまったあとは、2階のソファーに案内された。ふつう大勢の参列者はちゃんとした控室にいるようだけど、私はひとりなのでソファーにぽつんと座っていた。 するとSさんがにっこり微笑みながらやって来て、「あれは讃...
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